◎スーダンの政治は昨年10月末のクーデター以来、ほぼ麻痺している。
2022年2月14日/スーダン、首都ハルツームで開催された軍民合同政府に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

2月14日、スーダンの現地メディアによると、軍民合同政府に抗議するデモに参加した市民2人が射殺され、元政府高官が逮捕されたという。

野党「組合主義者同盟」は14日の声明で、元政府高官のモハメド・アルファキ・スリマン氏が13日遅くに首都ハルツームで拘束されたと明らかにした。

国軍は昨年10月末にアブダッラー・ハムドゥーク首相(当時)と政府高官を拘束し、軍民合同政府「ソブリン評議会」を解散させ、2023年7月の選挙まで権力を維持すると発表した。

軍と民間の代表は2019年の無血クーデターで独裁者のオマル・アル=バシールを追放し、国を民主主義に導くソブリン評議会を創設したが、昨年9月にアル=バシールの支持者がクーデター未遂事件を起こし、以来、軍事政権を復活させるという機運が高まっていた。

ハムドゥーク首相とクーデターの首謀者であるアブデル・ファッタ・バーハン将軍は11月に権力共有協定に署名し新たな軍民合同政府を発足させたが、協定の内容は一切明らかにされておらず、民主勢力は軍の権力が強化された可能性に懸念を表明し、各地で抗議デモを続けている。

スリマン氏はアル=バシールの追放と独裁政権が構築した遺産の解体を担当していた。

AP通信によると、スリマン氏には昨年10月に解体されたソブリン評議会の業務に関連する容疑がかけられているという。スリマン氏もクーデター後に拘束され、約1カ月後にハムドゥーク首相らと共に解放された。

治安当局は先週にもソブリン評議会の元大臣と関係機関の高官を逮捕している。組合主義者同盟によると、2人が逮捕された理由は明らかにされていないという。

首都ハルツームやその他の都市の抗議デモは今年に入り激化している。

デモを主催する団体によると、14日にハルツームと姉妹都市オムドゥルマンで開催されたデモには数千人が参加したという。

団体はハルツームのデモをフェイスブックでライブ配信した。抗議者たちは完全な文民政府への移行と、逮捕された活動家や元政府高官の釈放を求めた。

団体によると、治安部隊はハルツームとオムドゥルマンの複数の地点で実弾を使用し、デモ隊を解散させたという。2019年の無血クーデターを主導したスーダン医師会は14日の声明で、「少なくとも男性2人の死亡を確認した」と明らかにした。1人は首、もう1人は胸を撃たれていたという。

団体は、ハルツームの大統領官邸周辺の取り締まりは特に厳しく、多くの抗議者が殴られ、踏みつけられた人もいたと述べた。

ハルツームの治安部隊は衝突を避けるため、デモ参加者に公道ではなく広場で集会を開くよう呼びかけていた。スーダン医師会によると、治安部隊の取り締まりで死亡した人は80人を超え、2,200人以上が負傷したという。

スーダンの政治はクーデター以来、ほぼ麻痺しており、先月のハムドゥーク首相の辞任で混乱は最高潮に達した。ハムドゥーク首相はバーハン将軍と民主化運動との間で妥協点を見出そうとしたが、協議は平行線をたどったと伝えられている。

一方、アフリカ連合のムーサ・ファキ議長は13日、危機の打開策を見出す努力の一環として、ハルツームでバーハン将軍と会談した。

またムーサ・ファキ議長は民主化運動を主導するスーダン専門家協会とも会談し、文民統制を確立するよう改めて要請したという。

しかしバーハン将軍は、選挙で選ばれた政治家にのみ権力を移行すると主張している。選挙は2023年7月に実施される予定。

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