◎スーダンの治安は昨年の軍事クーデター以来、悪化の一途をたどっている。
2020年7月30日/スーダン、ダルフール西部の集落(Mustafa-Younes/AP通信)

スーダン政府は26日、西部ダルフール地方で週末に発生したアラブ系と非アラブ系の部族間衝突による死者が200人を超えたと明らかにした。

西ダルフール州の知事は26日、週末の襲撃事件の負傷者は100人に達し、数百人が地域外への避難を余儀なくされたと語った。

知事によると、武装勢力は地域の警備部隊を圧倒し、撤退に追い込んだという。「町の政府機関、公共施設、何もかも破壊されました...」

この地域の戦闘は西ダルフール州の州都ジェネイナの近郊で21日に発生した暴力事件をきっかけに急拡大したと伝えられている。

現地メディア旧スーダン政府の支援を受けていたとされるアラブ系武装勢力「ジャンジャウィード」が各地の非アラブ集落(主にアフリカ系)を襲撃し、重火器で市民を殺害したと報じている。

暴力は州都ジェネイナに達し、医療機関なども攻撃を受けたとされる。

国境なき医師団によると、ジェネイナの医療機関で働いていた職員1人が殺害されたという。その他の医療関係者は避難した。

西ダルフール州の知事はオンライン会見で、「軍は市民を保護するために、これまでにない安全対策と取り締まりを講じた」と説明した。軍はダルフール地方で活動する民兵に増援部隊を送り、重武装した大隊を同州内に配備したとされる。

この地域のアラブ系と非アラブ系は昨年末にも衝突し、少なくとも88人が死亡した。この時は地元の市場の所有権争いが引き金になったと伝えられている。

スーダンの治安は昨年の軍事クーデター以来、悪化の一途をたどっている。

軍と民間団体はスーダンを30年にわたった支配した独裁者オマル・バシルを2019年の無血クーデターで追放し、その後、軍民合同政府「ソブリン評議会」を発足させた。

ダルフールの治安悪化と一連の部族間衝突は軍事政権の統治能力に疑問を投げかけている。国連平和維持ミッションは2020年にこの地域での活動を終了した。

アフリカ系部族は2003年、アラブ系で構成される旧軍事政権に攻撃を仕掛けた。

独裁者のオマル・バシルはダルフール地方のアラブ系部族を武装化し、ジャンジャウィードを解き放ったことで国連から非難されたが、政府はこれを否定している。

2021年10月30日/スーダン、首都ハルツームで開催された抗議デモ(Marwan Ali/AP通信)
スポンサーリンク