◎軍政、民主派勢力、準軍組織の対立は民政復帰を目指す交渉を頓挫させた。
2023年4月15日/スーダン、首都ハルツーム中心部の通り(Marwan Ali/AP通信)

スーダン軍政は15日、2019年に失脚した独裁者オマル・バシル (Omar al-Bashir)とつながりのある準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が首都ハルツームに侵攻し、国軍に攻撃を仕掛けたと発表した。

人権団体「スーダン医師中央委員会」によると、この戦闘で少なくとも26人が死亡、数十人が負傷したという。

RSFはバシルが創設したアラブ系部族民兵「ジャンジャウィード」から派生した組織のひとつとされる。

軍政、民主派勢力、準軍組織の対立は民政復帰を目指す交渉を頓挫させた。

2021年10月の軍事クーデターを主導したブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)将軍は15日、アルジャジーラの取材に対し、「RSFの部隊がハルツーム南部の部隊に嫌がらせをし、衝突を引き起こした」と語った。

地元メディアによると、衝突は15日午後(現地時間)の時点で続いているという。軍政はRSFとの交渉を拒否し、それを「反乱軍」と断じた。

軍政は声明で、「特殊部隊がRSF戦闘員を追撃している」と述べ、市民に外出を控えるよう求めた。

戦闘は15日の早朝に勃発した。AP通信によると、ハルツームと第2の都市オムドゥルマンでは1日中銃声が聞こえたという。

APは目撃者の話として、「双方の戦闘員が人口密集地で装甲車やピックアップトラックに搭載された機関銃から発砲した」と報じている。

ハルツームでは戦車も確認された。軍政は声明の中で、「首都とその周辺のRSFの拠点を空爆した」と述べている。

スーダン医師中央委員会の報道官はSNSに、「至るところで火事と爆発が起きている」と書き込んだが、それ以上の詳細は分からず、軍政が衝突を煽っていると非難した。

ブルハン氏はアルジャジーラのインタビューで、「RSFがハルツームの空港に侵入し、いくつかの飛行機に火をつけた」と非難した。

またブルハン氏は「軍本部や大統領府を含む政府の拠点施設はすべて軍の管理下にある」とし、必要に応じてさらに多くの部隊をハルツームに投入すると警告した。

一方、RSFの司令官であるダガロ(Mohammed Hamdan Dagalo)将軍はアルジャジーラの取材に対し、「ブルハンがRSFの部隊を取り囲んで戦闘を始めた」と語った。「あの犯罪者の私兵部隊が機関銃を乱射したのです...」

またダガロ氏は「今後数日以内に戦闘は終結すると考えている」と述べた。

RSFはハルツームとその北西約350kmに位置する都市メロウェを占領したと主張しているが、軍政はこの主張を「大嘘」と却下した。

一部の専門家は西部ダルフールの紛争が都市圏に拡大する恐れがあると警告している。ダルフールでは土地と水をめぐる部族間の抗争が相次ぎ、この1年で1000人近くが戦闘中に死亡したと推定されている。

オマル・バシル はアラブ系部族を武装化し、ジャンジャウィードと呼ばれるアラブ系武装民兵をダルフールに送り込んだと告発されているが、バシルはこの告発を否定している。

国連はこの紛争でアラブ系とアフリカ系部族、最大30万人が死亡し、270万人が故郷を追われたと推定している。

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