◎アフリカ南部の国々は1月末にサイクロン・アナ、2月初めにサイクロン・バツィライ、その2週間後にサイクロン・ドゥマコ、そして2月末にサイクロン・エムナチの被害を受けた。
2022年1月29日/マラウイ、チクワワ県の住民(United Nations/UNICEF)

3月6日、国連は今年に入って4度ハリケーン災害に見舞われたアフリカ南部の現状に懸念を表明し、特に女性の安全と尊厳を取り戻す必要があると警告した。

アフリカ南部の国々は1月末にサイクロン・アナ、2月初めにサイクロン・バツィライ、その2週間後にサイクロン・ドゥマコ、そして2月末にサイクロン・エムナチの被害を受けた。

最も深刻な被害を受けたマダガスカルの死者は200人近くに達し、島の東部と中部の住民少なくとも14万人が避難を余儀なくされ、数千戸の民家が被害を受けたと伝えられているが、被害の全容は分かっていない。

サイクロン・アナで自宅と財産を失ったマラウイ南部ンサンジェ県のモニカ氏(妊娠6か月)はユニセフのインタビューの中で、「またすべてを失った」と語った。「私たちはサイクロン・イダイ、サイクロン・ケネスでも同じ経験をしました。またゼロから再建しなければなりません...」

サイクロン・アナは1月末にモザンピークに上陸し、隣国のマラウイに大雨をもたらした。政府のまとめによると、大雨による洪水で少なくとも37人が死亡し、今も20人近くの行方が分かっていない。

モニカ氏は当時の状況について、「家はあっという間に水浸しになったため、避難を決断した」と語った。

モニカ氏とその家族は一晩中雨と泥の中を歩き、何とか隣町の仮設キャンプに到着した。

翌日、モニカ氏と夫は自宅に戻ったものの、自宅は全壊し、食料と家畜もすべて流されていた。

サイクロン・アナはマラウイ全土に多くの傷跡を残し、特に南部で大きな被害が出たと伝えられている。政府によると、洪水の影響で少なくとも20万人が避難を余儀なくされ、2月末の時点で約11万人が仮設キャンプ生活を続けているという。

また、電力供給の30%を担う水力発電所が被害を受けたため、一部地域では今も停電が続いている。

国連によると、ンサンジェ県で仮設キャンプ生活を送っている市民は55,000人以上にのぼり、その中には約1,500人の妊婦が含まれているという。

仮設キャンプにプライバシーはなく、トイレも男女共用であり、女性や少女は身体・性的暴力の危険にさらされている。

また各地で続いている停電は新生児のケアにも深刻な影響を与えており、国連によると、ンサンジャ県の医療機関では保育器が停止したことで3人の新生児が死亡したという。病院の運営に欠かせない発電機の燃料や、妊産婦用医薬品などの物資も不足している。

国連人口基金(UNFPA)はンサンジャ県を含む深刻な被害を受けた地域に生理用品、石鹸、下着などの基本的な衛生用品を含む6,600個の「尊厳キット」を配布した。

またUNFPAはンサンジャ県の医療機関の発電機を復旧させ、さらに医療品、非医療品、妊婦用医薬品、避妊具などが入ったヘルスキットを被災地に届ける取り組みを進めている。

UNFPAマラウイ代表のヤング・ホン氏は地元メディアの取材に対し、「私たちの当面の優先課題は、女性の尊厳を含む基本的な権利を回復させることです」と語った。

自宅と財産を失ったモニカ氏は尊厳を守りながら生活を再建するという困難な課題に直面している。モニカ氏はユニセフに、「1番の心配事はまもなく生まれる子供のことです」と語った。「今週、妊婦健診に行く予定だったのですが、保健所まで行くことができません。道路は寸断され、まだ水浸しなのです...」

マラウイを含むアフリカ南部の国々は地球温暖化の影響を最も強く受けている。マラウイの温室効果ガス排出量は世界の総排出量の0.01%に満たない。

2022年1月25日/マラウイ、チクワワ県、増水した川を渡る人々(Getty Images/AFP通信)
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