▽米国はエイズ救済大統領緊急計画(PEPFAR)を通じて南アのHIVプログラムの約17%に資金を提供しており、昨年は約4億4000万ドルを援助した。
南アフリカ大統領府は5日、ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領が米政府効率化省(DOGE)のマスク(Elon Musk)氏と電話会談を行い、進行中の問題について協議したと明らかにした。
南ア出身のマスク氏は今週、ラマポーザ政権が白人を不当に扱い、「人種差別的な法律を公布した」と非難した。
トランプ(Donald Trump)大統領も2日、ラマポーザ氏が先月署名した土地収用法を非難。南アに対する財政支援を停止すると発表した。
これは公共事業など、公益性の高い事業のために土地の所有者から土地を収用することを認めるもので、話し合いで合意が得られた場合には任意の売買契約を締結する。しかし、補償金額などの条件面で折り合いがつかず、事業の進行が滞る場合には土地の収用を可能とする。
トランプ氏は記者団に対し、「なぜ、南アフリカ政府は一部の人々から土地を没収しているのか?我々がその実態を調査する間、財政支援を停止しよう」と述べた。
またトランプ氏は「彼は恐ろしいことをやっている。なぜ一部の人の土地を没収するんだ?これはすごく悪いことだ。本当に悪い」と主張した。
南アフリカ大統領府報道官は5日、「トランプ大統領とそれに関連したマスク氏による批判は誤った情報と歪曲に満ちており、マスク氏への電話はそれを正すためのものだ」と述べた。
マスク氏は以前からラマポーザ政権が白人を弾圧する政策を主導していると批判していた。
またマスク氏は土地収用法を「悪魔の法律」と呼び、白人から恣意的に土地を奪っていると主張してきた。
米国はエイズ救済大統領緊急計画(PEPFAR)を通じて南アのHIVプログラムの約17%に資金を提供しており、昨年は約4億4000万ドルを援助した。
南アのHIV感染者数は800万人以上と世界で最も多く、約550万人が抗ウイルス薬を服用している。
一部のアナリストはマスク氏がラマポーザ氏への批判を強めたことについて、自身の宇宙開発企業スペースXが提供する衛星インターネットサービス「スターリンク」のライセンスを南アが取得していないことに腹を立てているためと指摘している。