◎南アはアフリカ大陸を代表する経済大国のひとつだが、計画停電と高失業率に悩まされている。
2021年10月21日/南アフリカ南部の石炭火力発電所(Getty Images)

南アフリカ政府は5日、電力危機に対処する非常事態宣言を解除した。

地元メディアによると、国営電力会社エスコム(Eskom)の発電・送電設備の不備により計画停電は1日最大10時間から6時間ほどに短縮されたという。

エコノミストは今週、「南アの計画停電は少なくともあと1年続く」と警告した。

南アはアフリカ大陸を代表する経済大国のひとつだが、計画停電と高失業率に悩まされている。エスコム問題は同国の企業と市民約6000万人の生活に深刻な影響を与えてきた。

ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は2月9日の国会演説で電力非常事態を宣言した。これにより、必要不可欠な施設(医療機関や浄水場など)への電力供給が優先され、近隣諸国から電力を購入するための予算が確保された。

またラマポーザ氏はこの問題に対処する災害対策本部を発足させ、必要な措置を講じるよう命じた。

政府は5日の声明で、「非常事態宣言は危機的なレベルの停電を解消する取り組みのひとつであり、発出は適切であった」と述べている。

計画停電の頻度はわずかに緩和されたが、それでも企業活動と市民生活に計り知れない影響を与えている。

エコノミストは今回の電力危機を「エスコムの汚職と腐敗が引き起こした人災」と呼んでいる。

エスコムの長年の不始末によって石炭火力発電所や送電線は老朽化し、故障や事故が相次いだ。

エスコムは長年にわたって電力を安定供給できず、計画停電に頼ってきたが、昨年の停電は過去最悪だった。

エコノミストたちは計画停電が南アの実質GDP成長率を押し下げた主な原因と指摘。同国は景気後退の瀬戸際にあるという懸念が高まっている。

2022年第4四半期の成長率は前期比でマイナス1.3%。第3四半期はプラス1.6%だった。

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