◎諮問委員会はアフリカゾウ、ライオン、ヒョウ、サイなどの希少動物の密猟、飼育、管理、取引などに関連する法律や慣行の見直しを検討している。
2019年4月12日/南アフリカ、ムプマランガのクルーガー国立公園に隣接する動物保護区(Siphiwe Sibeko/ロイター通信)

5月2日、南アフリカは絶滅危惧種に指定されているライオンの密猟や取引などに対処する計画を発表した。

この計画は、政府が2019年10月に任命した25人の専門家で構成される特別諮問委員会の報告書と一緒に発表された。諮問委員会はアフリカゾウ、ライオン、ヒョウ、サイなどの希少動物の密猟、飼育、管理、取引などに関連する法律や慣行の見直しを検討している。

南アフリカのバーバラ・クリーシー環境・林業・水産大臣は2日の記者会見で、「諮問委員会はライオン産業が野生のライオンの持続可能性にリスクをもたらすと結論付けました」と述べた。「ライオンの飼育、商業利用、密猟、取引は野生の個体数に大きな影響を与えます。私は報告書に基づき、諮問委員会に法改正の検討を含む必要な行動と協議を行うよう要請しました」

また、諮問委員会は政府に対し、現在備蓄しているアフリカゾウの象牙とサイの角の処分を関係国と協議したうえで進めるよう勧告した。象牙と犀角(さいかく)は高値で取引されており、特に犀角は一部のアジア地域で漢方薬として重宝され、取引価格は金やコカインに匹敵すると伝えられている。

クリーシー水産相は、「政府の担当部門は諮問委員会の勧告に従い、野生動物の保護に向けた取り組みを加速させる」と述べた。

一方、諮問委員会によると、委員たちは「人間の飼育下に置かれているライオンの扱いに関する推奨事項を除く」すべての項目に合意したという。

クリーシー水産相は声明の中で、「勧告は狩猟産業を全否定するものではない」と強調した。「野生動物を正しく取り扱うことは南アフリカの国際的な評価の向上につながります。エコツーリズム、責任ある狩猟、動物保護区の適切な管理は南アフリカの自然と経済を強化するでしょう」

「政府は飼育下に置かれているライオンの保護は狩猟産業に利益をもたらし、それに関わる企業や個人の評判と仕事を保護することにつながると信じています...」

2020年11月26日/南アフリカ、マレレーンのクルーガー国立公園、アフリカゾウ(ゲッティイメージズ/Wolfgang Kaehler/LightRocket)

南アフリカ政府は絶滅危惧種のライオンの飼育と商品化を禁止しておらず、世界の保護団体や活動家から非難されてきた。

現地メディアによると、南アフリカには数百の野生動物飼育施設があり、合法的に何千頭ものライオンや他のネコ科の動物が飼育され、設備の整っていない施設の動物たちは狭いオリに押し込められているという。専門家は、「メスさえいれば個体数を増やすことは比較的簡単」と述べた。

オリの中に押し込められたライオンは人間の指示に従うよう調教され、アトラクションやサーカスに高値で売却される。しかし、人間の指示に従えない個体、何かしらの問題を抱えている個体は繁殖産業に送り込まれるか、殺されるという。

ライオンの骨、歯、爪は主にアジアに出荷され、ネックレスやペンダントなどの材料になる。また、高値で取引される虎製品の模造品になることもあるという。

専門家は、「ライオンのパーツの需要は年々高まっており、レッドリストで絶滅危惧種に指定されているにもかかわらず、密猟は後を絶たない」と指摘した。「規制の強化は密猟の防止につながります。南アフリカ政府はアフリカ大陸の代表として、脆弱な野生動物を保護するよう各国に呼びかけなければなりません」

世界で活動する動物福祉非営利団体ワールド・アニマル・プロテクションは2日の声明で、「何千頭もの養殖ライオンが南アフリカの残酷な商業繁殖施設で悲惨な生活を送っています」と述べた。「私たちは南アフリカ政府の計画を歓迎します。アフリカ大陸は野生動物の保護に向けた長期的な取り組みへの第一歩を踏み出しました」

南アフリカ政府は以前、養殖ライオンの取引を禁止した場合、需要を満たすために野生のライオンの密猟が増加すると懸念を表明していた。

スポンサーリンク