◎世界で最も人口の多い内陸国であるエチオピアはソマリランドの海岸線に海軍基地と港を建設できるようになった。
ソマリランド、中心都市ハルゲイサ(ロイター通信)

ソマリランドのモハムド(Abdiqani Mohamud Ateye)国防相が辞意を表明し、同政府がエチオピア政府と結んだ覚書を非難した。現地メディアが8日に報じた。

それによると、モハムド氏はエチオピアへの海岸リースに抗議するために辞表を提出したという。

エチオピアとソマリランドの首脳は1日、エチオピアの海岸利用を許可する覚書に署名。これにより、世界で最も人口の多い内陸国であるエチオピアはソマリランドの海岸線に海軍基地と港を建設できるようになった。

エチオピアのアビー(Abiy Ahmed)首相は調印式の演説で、「ソマリランド政府との歴史的な合意により、我が国は20キロの海岸線に基地を建設することができるようになった」と述べていた。

モハムド氏は地元テレビ局のインタビューで、「エチオピアは敵国であり、海岸線のリースは侵略を容認したも同然である」と語った。

ソマリランド(旧イギリス領)は1991年にソマリア(旧イタリア領)から独立。国連は同国の独立を承認していないが、台湾は2020年に外交関係を結び、米国を含む10カ国が首都ハルゲイサに駐在員事務所、ケニアとエチオピアは外交使節団の公館を設置している。

ソマリア政府もこの合意を「侵略」と非難し、対応を協議している。

モハムド氏は同国とエチオピアの高官がこの問題について話し合った後、「エチオピアに海岸をリースすべきでないと大統領らに進言した」と主張した。

またモハムド氏は「我が国の海岸繊にエチオピアの海軍基地が建設されれば、安全保障に深刻な影響を与える」と強調した。

さらに、「アビー首相は適切な交渉なしに海岸線を有利な条件で獲得した」と主張した。「アビーは適当な話しをして我が国の海岸線を占領し、海軍基地や港湾施設を建設するつもりです...」

この協定はソマリアだけでなくソマリランド全土でも抗議デモを引き起こした。

賛成派は海岸線が開発されれば経済的利益を得られる。反対派はエチオピアに領土を奪われると主張している。

ソマリランド政府によると、この覚書にはエチオピアが近い将来ソマリランドを独立国として認めるという条項が含まれている。

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