◎ソマリランド(旧イギリス領)は1991年にソマリア(旧イタリア領)から独立した。
ソマリランドとソマリアの国境近く(Getty Images)

ソマリアのモハムド(Hassan Sheikh Mohamud)大統領は17日、エチオピアがソマリランドと結んだ海岸リース協定を「事実上の併合」と非難し、同盟国に仲介を呼びかけた。

ソマリランド(旧イギリス領)は1991年にソマリア(旧イタリア領)から独立。国連は同国の独立を承認していないが、台湾は2020年に外交関係を結び、米国を含む10カ国が首都ハルゲイサに駐在員事務所、ケニアとエチオピアは外交使節団の公館を設置している。

エチオピアとソマリランドの首脳は先月1日、ソマリランド領内におけるエチオピアの海岸利用を許可する覚書に署名。これにより、世界で最も人口の多い内陸国であるエチオピアはソマリランドの海岸線に海軍基地を建設できるようになった。

この協定はソマリアの主権を侵害し、東アフリカ地域の安全と安定を脅かしかねないとして、欧米だけでなく、アフリカ諸国からも非難を浴びている。

ソマリア政府はエチオピアの港建設を阻止すると言明。戦争も辞さない構えを示している。

モハムド氏はエチオピアの首都アディスアベバで開催されるアフリカ連合(AU)首脳会議に出席中だ。

モハムド氏は記者会見で、「アディスアベバの治安当局が私の宿泊先に現れ、そこから出るのを妨害したため、ジブチ大統領の車に同乗せざるを得なかった」と告発した。

またモハムド氏は「私とジブチ大統領が会場に到着すると、武装警察官が立ち入りを妨害しようとした」と主張。「アビー(Abiy Ahmed)首相は私に帰れと言っている」と非難した。

アビー政権はこの主張に関する公式声明を出していない。

エチオピアは現在、ソマリランド最大の港を通じて輸出入を行っている。この港はリース範囲に含まれない。

AU、EU、米国は先月初め、ソマリランド領を含むソマリアの主権、統一、領土保全を支持すると表明した。

スポンサーリンク