◎反乱軍は9月30日、大統領府を制圧し、陸軍のトラオレ(Ibrahim Traore)大尉が国を率いると宣言した。
2022年10月2日/ブルキナファソ、首都ワガドゥグー、クーデターを率いたトラオレ大尉(ロイター通信)

ブルキナファソ当局は2日、軍事政権を率いてきた大統領代行のダミバ(Paul-Henri Sandaogo Damiba)中佐が辞意を表明したと発表した。

首都ワガドゥグーの宗教・地域指導者は声明で、「ダミバ氏が辞任に同意した」と述べている。

しかし、ダミバ氏本人は声明を発表していない。

軍は今年1月、国の治安を維持できなかったとしてカボレ(Roch Kabore)大統領を追放した。クーデターを率いたダミバ氏は治安回復を目指すと国民に約束したが、サヘル地域に拠点を置くイスラム過激派は各地で攻撃を続け、この半年で民間人2000人以上を殺害した。

反乱軍は9月30日、大統領府を制圧し、陸軍のトラオレ(Ibrahim Traore)大尉が国を率いると宣言した。

一方、ダミバ氏がフランス軍基地に匿われていると一部メディアが報じた後、ワガドゥグーの在ブルキナ仏大使館がデモ隊の攻撃を受けた。

フランス政府は攻撃に深刻な懸念を表明し、トラオレ大尉も大使館への攻撃を控えるようデモ隊に要請した。

国連によると、ブルキナ軍は国土の60%しか管理できておらず、残り40%はイスラム過激派の支配下に置かれているという。

アフリカ連合(AU)は遅くとも2023年7月までに憲法秩序を取り戻すよう軍に要求。ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)はダミバ氏の追放を「違憲であり不適切」と非難した。

ダミバ氏は2024年7月までに文民政府に移行すると約束していた。

ダミバ氏は声明を発表していないが、AFP通信は当局者の話を引用し、「宗教・地域指導者はダミバ氏本人が人的損失を避けるために辞任を申し出たと説明している」と報じた。

AFPによると、ダミバ氏は辞任の条件として、▽身の安全の保証▽国民との対話の継続▽2年以内の民政復帰など、少なくとも7つの条件を提示したという。

トラオレ氏率いる反乱軍は2日、ワガドゥグーを軍用車でパレードし、イスラム過激派を討伐すると誓った。

しかし、多くの市民が暴力の増加と治安の悪化に懸念を表明している。

サヘル地域で進行中の紛争はこの数カ月で激しさを増し、多くの民間人と兵士が犠牲になった。国連によると、マリ、ニジェール、ブルキナで今年イスラム過激派に殺害された民間人は7月末時点で2000人を超え、昨年の通年を上回った。

ブルキナでは1960年の独立以来、8回クーデターが発生している。

2022年2月16日/ブルキナファソ、首都ワガドゥグーの政府庁舎、宣誓するダミバ中佐(Getty Images/AFP通信)
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