◎ニジェールはサハラ砂漠以南のサヘル地域における米仏軍の対テロ作戦で中心的な役割を担ってきた。
西アフリカ・ニジェールの軍政事件が20日、フランスの原子燃料会社オラノ社が運営するウラン鉱山の操業許可を取り消した。
鉱山省は20日付けの書簡で、「オラノ社の採掘計画は我々の期待に沿うものではなかったため、同社が運営するウラン鉱山は公営地に戻り、全ての契約は破棄された」と述べている。
ニジェールは人口約2600万人の内陸国。アフリカを代表するウラン生産国であり、生産量は世界第7位である。
EUの執行機関である欧州委員会によると、2022年にEU域内で消費されたウランの4分の1以上がニジェール産であった。
ニジェールはサハラ砂漠以南のサヘル地域における米仏軍の対テロ作戦で中心的な役割を担ってきた。
しかし、昨年夏のクーデターで政権を奪取した軍政指導部は旧宗主国のフランスや米国との関係を断った。
軍政は西側の駐留軍に撤退を命じ、ロシアと軍事協定を締結。首都ニアメに近い「エアポート101」と呼ばれる空軍基地には少数の米部隊とロシア軍が同じ敷地内に駐留している。
米軍は9月15日までにニジェールから完全撤退する予定だ。
オラノ社が北部で運営するウラン鉱山の推定埋蔵量は20万トン。世界最大級のウラン鉱床である。
この鉱山での採掘・生産は2015年に始まる予定であったが、11年の福島第一原発事故でウラン価格が暴落して以来、先延ばしされていた。
オラノ社は20日、「ニジェール当局はウランの価格が上昇し、採掘を再開できる準備が整ったにもかかわらず、一方的に契約を破棄した」と非難した。
また同社は「同鉱山における活動は今月初めに再開したばかりであった」と述べた。
オラノ社は50年以上前からニジェールで複数の鉱山を運営してきた。
同社は「常に透明性のある責任あるアプローチをとり、ニジェールや地元の利害関係者と継続的に協議しながら行動してきた」と強調。軍政に再考を求めた。