◎軍政は現在、同国に10年以上駐留する国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA)に退去を勧告している。
2022年1月14日/マリ、首都バマコ、フランスの制裁に抗議するデモ(Getty Images/EPA通信)

マリ軍政は20日、国連のレポート作成に関与した個人をスパイ容疑で起訴すると発表した。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は先月、マリ軍政がロシアの民間軍事会社ワグネルと共謀して同国中央部の集落で民間人少なくとも500人を虐殺したと報告していた。

軍政は現在、同国に10年以上駐留する国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA)に退去を勧告している。

軍政の支配下にある検察庁は声明で、「国連レポートに関与した者はスパイ活動を含む複数の容疑で起訴されることになるだろう」と述べている。

それによると、OHCHRの担当者を含むレポートの作成に関与した個人はスパイ法違反、軍の士気を低下させた罪、文書偽造、国家安全保障に脅威を与えた罪などに問われるという。

OHCHRはレポートの中で「目撃者の証言、法医学的データ、衛星データなどを調査・分析した結果、昨年3月に多くの市民がマリ軍および外国軍による超法規的処刑、拷問、レイプを受けた兆候を確認した」と述べている。

軍政は西側諸国との関係を断ち切り、ロシアや近隣の軍事国家とのつながりを強化しようとしている。

2020年の軍事クーデターを率いたゴイタ(Assimi Goita)大佐は海外メディアや国連職員を国外に追放し、平和維持活動を制限している。

マリと隣国ブルキナファソを中心とするサヘル地域では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系の過激派が猛威を振るっている。

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