◎フランス主導のアフリカ連合軍は2012年からサヘル地域で活動するジハード組織と戦っている。
2012年7月16日/マリ東部ガオ、ジハード組織の戦闘員(Getty Images/AFP通信)

国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は15日、マリで活動するアルカイダやイスラム(ISIS)とつながりのあるジハード組織とマリ軍の兵士がこの3カ月で民間人少なくとも107人を殺害したと明らかにした。

HRWの報告書によると、2021年12月以降に殺害された民間人107人のうち、少なくとも71人のケースにマリ軍の兵士が関与していたという。残りの36人はジハード組織に殺害された。

マリ軍は15日の声明で報告書の一部に異議を唱える一方、多くの攻撃や疑惑に関する調査を進めていると強調した。

マリ北部のサヘル地域とその周辺ではフランス軍の撤退が決まって以降、暴力が急増している。フランスは先月、マリから部隊を撤退させると発表した。

フランス主導のアフリカ連合軍は2012年からサヘル地域で活動するジハード組織と戦っている。犠牲者は民間人込みで数千人、約150万人が避難民になったと推定されている。

ジハード組織の暴力を食い止めるために戦っているマリ軍の一部は、南西部や中部で市民を虐殺したという批判にさらされている。

HRWは報告書の中で、「犠牲者の多くは商人、村長、宗教指導者、子どもたちである」と述ベている。

HRWのサヘル地域担当のデュフカ氏はAP通信の取材に対し、「民間人を殺害するケースがここ数カ月で劇的に増加している」と懸念を表明した。「一部のマリ軍兵士とイスラム過激派は人命を完全に無視し、明白な戦争犯罪を犯しています。彼らはひとり残らず調査され、関与が認められた者は適切に処罰されるべきです...」

終わりの見えない紛争で代償を払っているのは主に民間人である。HRWによると、少なくとも32万人以上が劣悪な避難所で何年も生活しているという。

またHRWは、「イスラム過激派、反政府勢力、民族民兵、マリ軍の兵士がほとんどの事件に関与しており、2015年以降に発生した事件の大半は中部で起きている」と述べた。

マリ政府と一部の市民はフランス軍の撤退を歓迎しているが、多くの専門家がマリ単独で自国の治安を守ることは難しいと指摘している。フランス軍の撤退任務は5か月後に完了する予定。

フランス軍は2013年に紛争に介入し、ジハード組織に占領されたマリ北部の奪還作戦を主導した。しかし、ジハード組織は連合軍に追い払われた後も攻撃を継続している。

HRWの報告書はマリ軍がマリ領内で民間人を虐殺しているというモーリタニアの申し立てを受け作成された。

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