◎マリ北部で進行中のサヘル紛争は西アフリカ諸国の悩みの種であり、マリだけでなくブルキナファソ、ニジェール、チャドにも深刻な影響を与えている。
2020年8月22日/マリ共和国、首都バマコ、アシミ・ゴイタ大佐(Getty Images/AFP通信)

マリの暫定大統領であるゴイタ(Assimi Goita)大佐は24日、民政復帰に向けた取り組みを進める新法に署名した。

ゴイタ氏は昨年5月の軍事クーデターを主導し、ヌダウ(Bah Ndaw)大統領とウアンヌ(Moctar Ouane)首相を追放した。

国営メディアによると、ゴイタ氏が署名した新たな法律は2024年に予定されている大統領選に関するもので、ゴイタ氏本人と軍事政権高官の立候補を認める内容になっているという。

ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)はゴイタ氏が今年2月に予定されていた大統領選を実施しなかったため、厳しい制裁を科している。

この法律は単一の選挙管理機関を創設し、選挙に向けた手順を詳述している。国営メディアによると、この法律は憲法に則った統治に戻るというゴイタ政権の意思を示し、制裁緩和を促す内容になっているという。

しかし、ECOWASは文民統制を望んでおり、軍指導部の出馬に懸念を示す可能性が高いと思われる。マリの政治アナリストはSNSに、「この法律は民政復帰を約束したゴイタ氏の発表に疑問を投げかける」と指摘している。

一部の紛争アナリストは、「大切なことはマリをひとつにまとめ上げ、現在の悲惨は安全保障と治安を回復できるリーダーを選出すること」とSNSに投稿している。「ゴイタでも誰でもいい。今大切なことはジハード軍の圧倒的な暴力に直面しているマリをひとつにまとめ上げ、紛争を終結させることです」

マリ北部で進行中のサヘル紛争は西アフリカ諸国の悩みの種であり、マリだけでなくブルキナファソ、ニジェール、チャドにも深刻な影響を与えている。

アルカイダとイスラム国(ISIS)系組織の暴力で死亡した兵士と民間人は2000人を超え、数百万人が避難民になり、この地域で生活する数千万人が食料の確保に苦労している。

スポンサーリンク