◎マリとフランスの関係は2020年8月の軍事クーデター以来、悪化の一途をたどっている。
2022年1月14日/マリ、首都バマコ、フランスの制裁に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

1月31日、マリの現地メディアによると、軍事政権は同盟国フランスの大使に国外退去を命じたという。

マリ北部のサヘル地域を拠点とするイスラム国(ISIS)とアルカイダの関連組織はマリの中心部まで影響力を拡大し、フランス主導のアフリカ連合軍と国連平和維持軍への攻撃を激化させている。

マリとフランスの関係は2020年8月の軍事クーデター以来、悪化の一途をたどっている。

軍事政権は今月初めに総選挙を2026年まで延期すると発表し、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の怒りを引き起こした。ECOWASはマリを同盟から除外し、制裁を科している。

かつてフランスの植民地だったマリの軍事政権支持派はECOWASとフランスの圧力に反対する抗議デモを各地で開催し、緊張が高まっていた。

フランスのル・ドリアン外相は先週、マリの総選挙延期に深刻な懸念を表明し、軍事政権を「非嫡出子(婚姻関係にない男女の間に生まれた子)」と呼んだ。

この発言に軍事政権は激怒し、ル・ドリアン外相の発言を「とんでもない」と厳しく非難した。

フランスはマリから部隊を撤退させると脅迫している。サヘル紛争は地域全体に深刻な影響を与えており、これまでに数千人が死亡、150万人が避難民になったと推定されている。

国営メディアは31日の報道で、「政府はフランス外相の敵対的な発言を受け、フランス大使に72時間以内に退去するよう命じた」と速報で報じた。

フランスのパルリ国防相は31日、「マリの統治者はフランスを執拗に挑発している」と述べ、暫定首相のアシミ・ゴイタ大佐を非難した。

AFP通信によると、外務省は大使を呼び戻したという。大使館は機能を維持する。

フランスは2013年にマリに部隊を配備し、ジハード主義者との戦いを主導してきた。

マリはジハード主義者に北部地域を奪われたものの、フランスの支援を受け、領土の奪還に成功した。しかし、敵はマリだけでなくサヘル地域全体で攻撃を繰り返しており、ブルキナファソやニジェールの一部地域は劣勢に立たされている。

マリは先週にも同盟国のひとつであるデンマークの部隊に退去を命じていた。

西側諸国はマリがロシアの傭兵を使用したことに懸念を表明している。

西アフリカの政治情勢と治安はサヘル紛争の影響で悪化しており、ブルキナファソでは先週、ギニアでも2021年に軍事クーデターが発生した。

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