◎アシミ・ゴイタ暫定大統領は昨年の軍事政権発足時、2022年2月までに民主的な選挙を行うと約束していた。
2021年1月14日/マリ、首都バマコ、フランスの制裁に抗議するデモ(Harandane Dicko/AP通信)

1月14日、マリの首都バマコでフランスの圧力の高まりに抗議するデモが開催され、軍事政権を支持する市民数千人が参加した。

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は先週、総選挙が4年延期されたことを受け、軍事政権だけでなくマリの資産を事実上凍結する厳しい経済制裁に踏み切った。マリの旧統治国であるフランスも選挙の延期に深刻な懸念を表明している。

昨年暫定大統領に就任したアシミ・ゴイタ大佐は2020年8月の軍事クーデターで権力を掌握したが、国際社会の非難を受け、民間のバ・ヌダウ氏とモクタール・ウアン氏に権力を移譲した。しかし、ゴイタ大佐は民主政権の発足から1年も経たぬうちに新たな軍事クーデターを主導し、ヌダウ氏とウアン氏を追放した。

軍事政権のショゲル・マイガ首相はバマコの独立広場に集まった市民に「制裁には3つの目的がある」と語った。「1つ目は国の制度を不安定にすること、2つ目はマリ軍を不安定にすること、そして3つ目はマリを不安定にすることです!」

市民は「帝国主義を打ち負かせ!」「打倒ECOWAS!」「打倒フランス!」などと叫び、マイガ首相を応援した。

ゴイタ暫定大統領は軍事政権発足時、2022年2月までに民主的な選挙を行うと約束していた。

2021年に発効した制裁の対象は軍事政権の関係者に限定されていたが、新しい制裁はマリの商業銀行の資産を事実上凍結する極めて厳しいものになった。

またECOWASの加盟国はマリ行きの航空路線をすべて停止しているが、軍事政権の支配下に置かれているギニアのみ運航を再開した。

ゴイタ政権を支持するジャミル・ビター議員はデモ演説の中で、「フランスはマリを裏切った」と述べた。「私たちはフランスとの外交関係を断ち切るよう政府に求めています...」

一方、ゴイタ暫定大統領は14日、国営メディアの取材に対し、「ECOWASの制裁は国の主要なサプライチェーンには影響を与えない」と述べ、国民を安心させた。ECOWASはマリ向けの輸入品に制限をかけているが、燃料、医薬品、その他の生活必需品には適用されない。

ゴイタ暫定大統領は、「国の治安は急速に悪化しているため、当初の約束通り選挙を行うことは不可能」と強調した。

サヘル地域を拠点とするイスラム国(ISIL)とアルカイダの関連組織はマリの中心部まで影響力を拡大しており、国連平和維持軍とアフリカ連合軍への攻撃を繰り返している。

しかし、ECOWASは選挙の延期を却下し、「軍事政権はテロ組織の活動が活発化したという理由で国民を人質に取り、生き永らえようとしている」と非難した。

マリ北部紛争で主導的な役割を果たしてきたフランス軍は部隊の数を減らすことでマリに圧力をかけているが、一部の専門家は「フランスの撤退は事態を悪化させるだけ」と指摘している。

2020年8月22日/マリ共和国、首都バマコの防衛省施設、アシミ・ゴイタ大佐(Getty Images/AFP通信)
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