◎マリを含むサハラ周辺の一部の国は数多くの人権侵害で告発されているロシアの民間軍事会社ワグナー・グループと契約を結んでいる。
2018年7月27日/マリ、首都バマコの市街地をパトロールする兵士(Luc Gnago/ロイター通信)

人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は5日、マリ軍とロシアの民兵と思われる外国人兵士が、マリ中部のモウラ(Moura)で推定300人を殺害したと明らかにした。

殺害された300人の一部はイスラム過激派組織の戦闘員と思われるが、目撃者によると、大半は民間人だったという。

HRWは事件について、10年に及ぶマリ北部紛争(サヘル紛争)の中で最悪の虐殺行為であり、複数の目撃者から話を聞いたと報告した。

またHRWは、モウラはアルカイダ関連組織の占領下にあり、殺害された300人の一部はジハード兵だったが、他の多くは民間人だったと強調した。

目撃者によると、殺された人々の大半はジハード組織からひげを伸ばすよう強制された民間人だったという。

また目撃者は、「フランス語を話さない兵士は3月下旬に300人の大半を射殺した」と証言している。米軍は今年初めに数百人のロシア民兵がマリに派遣されたと報告した。

マリ政府は先週、モウラのテロリストの砦に対する大規模な攻撃で武装勢力200人以上を殺害し、約50人を逮捕したと発表していた。しかし、地元や国内外で活動する人道機関はこの掃討作戦を「民間人の処刑」と非難している。

国連マリ多元統合安定化ミッション(MINUSMA)はモウラで実施された掃討作戦の調査を行う予定で、当局の認可を待っている段階と伝えられている。

HRWのサヘル担当ディレクターであるデュフカ氏は報告書の中で、「イスラム武装勢力が民間人を虐待していたとしても、人々を意図的に虐殺することを正当化することはできない」と述べ、当局を非難した。「過去10年間で最悪の残虐行為の責任はマリ政府にあります。それがロシア兵の犯行であったとしても、責任はマリ政府が負わなければなりません」

目撃者はHRWに、「モウラはアルカイダとつながりのある過激派にほぼ支配され、税金と厳しいシャリア法を強制されていた」と説明している。

デュフカ氏は、「マリ政府は外国兵の役割を含め、これらの大量虐殺を緊急かつ公平に調査すべきである」と述べた。

またデュフカ氏は調査を公平かつ独立した信頼できるものにするために、アフリカ連合と国連の支援を受けるようマリ政府に要求した。

マリを含むサハラ周辺の一部の国は数多くの人権侵害で告発されているロシアの民間軍事会社ワグナー・グループと契約を結んでいる。

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