◎マダガスカル南部は過去40年間で最悪の干ばつに見舞われており、WFPの推定によると、110万人以上が食糧不足に陥っているという。
2022年2月25日/マダガスカル、東部マナンジャリの海岸(Getty Images/AFP通信)

国連世界食糧計画(WFP)によると、今年に入って4度ハリケーンに見舞われたマダガスカルで食糧危機が進み、子供を含む多くの市民が飢えに直面しているという。

WFPのデビッド・ビーズリー事務局長は24日に公表されたレポートの中で、「マダガスカル南部の危機は見逃されている」と深刻な懸念を表明した。

マダガスカルは先月末にサイクロン・アナ、今月初めにサイクロン・バツィライ、2週間前にサイクロン・ドゥマコ、そして今週サイクロン・エムナチの被害を受けた。

バツィライの死者は120人を超え、政府によると、東部や中部の住民少なくとも14万人が避難を余儀なくされたという。影響を受けた家屋は数千戸と伝えられているが、被害の全容は分かっていない。

ビーズリー事務局長は世界に行動を起こすよう強く呼びかけた。「私は何時間も歩いて食料配給所に向かう女性や子どもたちに会いました。世界は彼らを救うために行動しなければなりません...」

マダガスカルではここ数年、深刻な干ばつが続いており、ハリケーンの影響を受けていない地域も食糧不足に陥っている。

ビーズリー事務局長は、「マダガスカルは気候変動のせいで飢餓の淵に追いやられている」と述べた。「この国で進行中の食糧危機は戦争や紛争ではなく、気候変動によるものです。マダガスカルの温室効果ガス排出量は世界の0.01%未満ですが、世界で最も高い代償を支払わされています」

ロシア・ウクライナ戦争も輸入に頼っている同国の燃料、食料、特に小麦の価格に大きな影響を与える可能性があり、危機に拍車をかけると懸念されている。

マダガスカル南部は過去40年間で最悪の干ばつに見舞われており、WFPの推定によると、110万人以上が食糧不足に陥っているという。そのうち1万4千人が飢饉に近い状態(IPCの5段階分類のうち最も深刻なフェーズ5)にあり、その数は今年10月までに倍になると予想されている。

食料が手に入らない影響で数千人が自宅を離れ、南部にとどまっている人々は植物や昆虫を食べて飢えをしのいでいる。WFPによると、この地域に続く道路インフラは極めて脆弱で、政府も支援を送ることに苦労しているという。

マダガスカルの5歳未満の児童の急性栄養失調率(GAM)はこの4ヶ月でほぼ倍増し、16.5%まで上昇した。中でも深刻な影響を受けているのは南部アンボボンベ地区のGAMは27%に達し、多くの児童が生命の危機に瀕している。

ビーズリー事務局長は子供のGAM率が急上昇していることについて、「厳しい政治指導者も涙するほど深刻」と述べた。「この数ヶ月、南部の家族は赤いサボテンの実、落ち葉、イナゴなどを食べて生活しています。干ばつで子供を含む数万人の命が脅かされている現状に背を背けることはできません。世界は今こそ立ち上がり、行動し、気候変動の流れを食い止め、命を救うためにマダガスカル政府を支援しなければなりません...」

WFPは昨年末からマダガスカル政府や他の人道機関と協力して食糧支援を続けている。ビーズリー事務局長は先週、同国の政府高官と会談し、長期的な解決策が必要であることを確認した。

WFPの推定によると、次の作物の収穫量が減る時期を乗り切るためには、約7,900万ドル(91億円)の支援が必要だという。

2022年2月2日/マダガスカル、首都アンタナナリボの避難所(Getty Images/AFP通信)
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