◎大統領選挙の第1ラウンドは12月24日に行われる予定だった。
2021年11月14日/リビア、首都トリポリの選挙委員会事務所、故カダフィ大佐の次男セイフ・イスラム氏(右)(Libyan High National Elections Commission/AP通信)

12月22日、リビアの議会は今週予定されていた大統領選挙を行うことは不可能と述べ、延期を決めた。

大統領選挙の日程はほぼ1年前に計画され、リビアに平和をもたらす国際的な取り組みの要として期待されていたが、予定通りに選挙を行うか延期するかのどちらのシナリオを選択しても混乱は避けられないという見方が強くなっていた。

選挙を統括する議会委員会の長、アル・ハディ・サゲイル議員は22日、議会議長に宛てた書簡の中で、「12月24日に大統領選第1ラウンドを予定通り実施することは不可能」と述べた。

その後、選挙委員会は22日遅くに解散し、議会委員会にその責任を移譲した。

地元メディアなどによると、議会委員会は来年1月24日に第1ラウンドを行うと提案したという。

首都トリポリでは選挙の延期に反対する抗議デモが開催されたと伝えられている。2011年の革命で殺害された独裁者ムアンマル・カダフィ大佐の次男であるセイフ・イスラム氏を含む約100人の大統領候補も延期に反対した。

投票は選挙に関する法律をめぐる論争や武装集団間の争いなど、多くの課題に直面している。数年にわたる東西勢力の争い、主に北アフリカで活動する数千人規模の外国人部隊も混乱を助長した。

人権NGOアムネスティ・インターナショナルの副地域ディレクターであるダイアナ・エルタホーイ氏は22日、「武装集団や民兵による暴力が続く中で投票を行うことはほとんど不可能」と述べた。

エルタホーイ氏は声明の中で、「暫定政府と武装勢力は公務員、裁判官、治安部隊、民間人に対する嫌がらせと脅迫を速やかに終わらせるようすべての戦闘員に指示しなければならない」と警告した。

リビアの民兵軍は2011年10月にカダフィ大佐の討伐に成功したが、革命で重要な役割を果たしたハリファ・ハフタル司令官率いる東部軍と首都トリポリの国連支援政府はその後激しく対立し、リビアは世界で最も危険な国のひとつになった。両軍は様々な民兵と外国人部隊によって支えられている。

エジプトとUAE(アラブ首長国連邦)の支援を受けるハフタル司令官は2019年に首都トリポリに侵攻したが、トルコの部隊とシリアの民兵が国連支援政府への軍事支援を強化したため、ハフタル司令官の首都奪還作戦は崩壊した。

地元メディアによると、議会議長は22日遅くに新しいロードマップを1週間以内に提案するよう議会委員会に命じたという。

<リビアの選挙日程>
・大統領選挙:2021年12月24日 2022年1月24日?
・議会選挙:2022年2月(予定)

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