◎ドベイバ首相は新たな暫定政府を樹立しようとする試みを「無謀」と呼び、内戦再燃につながりかねない「茶番」と非難した。
2022年2月8日/リビア、首都トリポリで行われた陸軍士官候補生の卒業式、アブドゥルハミード・ドベイバ首相(Yousef Murad/AP通信)

2月22日、リビアのドベイバ首相は選挙を行わずに新政権が発足すれば、10年前に終結した内戦が再燃する可能性があると警告した。

ドバイバ首相は21日遅くに放送されたテレビ演説の中で、「民主的な選挙で選出された議員にのみ政権を譲る」と強調し、今年6月に議会選挙を実施する予定と明らかにした。

リビア議会は昨年末、12月24日に予定されていた大統領選第1ラウンドを1か月延長すると発表した。その後、選挙委員会は解散し、議会委員会にその責任を移譲したものの、大統領選は再び延期された。

<リビアの選挙日程>
・大統領選挙:2021年12月24日 2022年6月?
・議会選挙:2022年2月予定 未定

首都トリポリでは選挙の延期に反対する抗議デモが開催され、2011年の革命で殺害された独裁者ムアンマル・カダフィ大佐の次男であるセイフ・イスラム氏を含む約100人の大統領候補も延期に反対した。

一部の議員はドバイバ政権の職務権限は12月24日に終了したと主張しており、対立が続いている。

ドベイバ首相は新たな暫定政府を樹立しようとする試みを「無謀」と呼び、内戦再燃につながりかねない「茶番」と非難した。議会下院は現在、暫定政府の樹立に向けた取り組みを審議している。

ドベイバ首相は「選挙が唯一の解決策だ」と述べ、選挙以外で選出された代表に権力を譲ることはないと断言した。

リビアの民兵軍は2011年10月にカダフィ大佐の討伐に成功したが、革命で重要な役割を果たしたハリファ・ハフタル司令官率いる東部軍と首都トリポリの国連支援政府はその後激しく対立し、リビアは世界で最も危険な国のひとつになった。

東部軍の議会は今月初め、西部の都市ミスラタ出身の元内相であるバシャガ氏を暫定政府の首相に指名すると発表した。バシャガ氏の任命は14カ月以内に大統領選および議会選挙を行うという議会委員会のロードマップの一部である。

しかし、ドベイバ首相は東部軍の主張を却下し、「戦争」という言葉を8回使い、議会の動きを非難した。

AP通信によると、ドベイバ首相は東部軍のハフタル司令官と膠着状態を回避するために交渉を行ったが、努力は失敗に終わったという。

ハフタル司令官の事務所は今のところ声明を発表していない。

国連のドゥジャリク報道官は22日、「国連はリビアの指導者が合意を通じて決定を下し、枠組みを確立し、リビア国民と直選選挙に向けた取り組みを進めた人々が最善の結果を得られると確信している」と述べた。

国連のリビア特別顧問ステファニー・ウィリアムズ氏は、「主要政党やその他の主要人物との協議を続けており、21日にはチュニジアで大使らと会談し問題について話し合った」と明らかにした。

リビアのシンクタンク、サデック研究所は、「ドベイバ首相の提案は深い政治的論争を反映している」と指摘した。「ドベイバ首相は強力な議会議長であるアギラ・サレハ氏を排除したいと思っています...」

サレハ議会議長はドベイバ首相の主要なライバルのひとりであり、内戦の終結に深く関与した。

サデック研究所はレポートの中で、「サレハ氏とハフテル司令官が手を組んで別の暫定政府を無理やり発足させれば、戦争が勃発しかねない」と指摘している。

リビアは2014年の総選挙以来、選挙を実施することができておらず、これにより同国は武装民兵と外国政府の支持を得たライバル政府間で分裂することになった。

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