◎東部の都市トブルクの議会は先月初めに暫定内閣を発足させ、バシャガ氏を首相に指名した。しかし、首都トリポリには国連公認政府がある。
2021年2月17日/リビア、首都トリポリの殉教者広場(Getty Images/AFP通信)

リビア東部政府の暫定首相に就任したバシャガ氏は11日、首都トリポリに展開した武装集団を撤退させたと明らかにした。

トリポリの国連公認政府は総選挙の実施に向けた取り組みを進めているが、東部と西部の2つの派閥が権力を主張し、再び分裂しようとしている。

東部の都市トブルクの議会は先月初めに暫定内閣を発足させ、バシャガ氏を首相に指名した。しかし、首都トリポリには国連公認政府がある。

バシャガ氏は、昨年末に予定されていた大統領選挙の実施に失敗した国連公認政府の任期は切れたと指摘し、東部政府に権力を移譲するよう要求している。

アルジャジーラによると、親バシャガ派の武装勢力は10日にトリポリの東端に展開したという。国連リビア・ミッション(UNSMIL)は双方に自制を促していた。

バシャガ氏の事務所は11日早朝の声明で、「トリポリの外れに展開した部隊は戦闘ではなく、基地に戻ることを選択した」と述べた。

また事務所は部隊について、「戦争ではなく、治安維持のために動員した」と強調した。

バシャガ氏は9日、AP通信の取材の中で「2、3日のうちにトリポリに到着する」と発言したため、東西の対立が激化し戦闘に発展するという懸念が高まっていた。

リビアの民兵軍は2011年10月にカダフィ大佐を討伐したが、革命で重要な役割を果たしたハリファ・ハフタル司令官率いる東部軍と首都トリポリの国連公認政府はその後激しく対立し、リビアは世界で最も危険な国のひとつになった。

米国のリビア大使であるノーランド氏は10日遅くの声明で、国連公認政府のドベイバ首相とバシャガ氏と電話会談を行ったと明らかにした。

ノーランド市は声明の中で、「ドベイバ首相の人命を最優先するコミットメント」と「バシャガ氏の緊張を緩和しようとする意思」を称賛した。「対話と権利の尊重はリビアの安定と統一を維持する唯一の方法です...」

バシャガ氏の事務所は、「いかなる対話にも応じる用意がある」と述べ、「東部政府は戦争ではなく、平和の支持者である」と強調した。「私たちはトリポリの同胞を戦争に巻き込みません...」

国連のリビア担当ウィリアムズ氏は対立する東西の政府をまとめるため、仲介を申し出る予定だった。国連は双方に、大統領選挙と議会選挙の実施に必要な憲法の策定を目指す合同委員会を創設するために、それぞれ代表を6名推薦するよう要請していた。

しかし、委員会の第1回会合は3月15日に行われる予定だが、代表6人を推薦することに合意したのは国連公認政府だけである。

リビアで選挙を行うためには派閥争いだけでなく、論争の的になっている候補者(カダフィ大佐の息子)や選挙を管理する法律など、多くの未解決の問題を解決する必要がある。

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