ケニアで大統領に抗議するデモ激化、略奪横行、死者も

ルト氏は22年9月に第5代大統領に就任。労働者階級を支援するという選挙公約を掲げたにもかかわらず、積極的な税制措置を提案し、当時の支持者に「裏切者」と呼ばれるようになった。
2025年6月17日/ケニア、首都ナイロビ、警察に抗議するデモ(AP通信)

アフリカ東部・ケニアでルト(William Ruto)大統領に退陣を求める抗議デモが続いている。

ルト氏は22年9月に第5代大統領に就任。労働者階級を支援するという選挙公約を掲げたにもかかわらず、積極的な税制措置を提案し、当時の支持者に「裏切者」と呼ばれるようになった。

首都ナイロビのデモ隊は「1期限り」というスローガンを掲げてルト政権に抗議。一部が暴徒化し、死傷者が出る事態となっている。

デモ隊と野党はルト氏に対し、任期満了を迎える27年までに退くべきと主張している。

ルト氏は財政健全化を約束し、様々な税制措置を導入。世界銀行や国際通貨基金(IMF)はこの政策を支持しているが、人口の大多数を占める低中所得者層が増税や燃料補助金の廃止にショックを受けた。

ルト氏は昨年、数千人の若者が暴徒と化した税制反対デモを何とか乗り切った。

このデモは数週間にわたって続き、60人以上が死亡、数十人が今も消息不明のままである。

この抗議は6月末に与党の増税法案が国会で可決されたことで激化。デモ隊が国会議事堂に突入するなど、1カ月以上にわたって混乱が続いた。

今年に入ってからも散発的にデモが発生。ナイロビでは先月、警察に抗議するデモが暴動に発展し、略奪が横行した。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは少なくとも16人が死亡、400人以上が負傷し、死者の大半が警察官に射殺されたと報告している。

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