◎サイード大統領は昨年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を独占した。
チュニジア、首都チュニス、サイード大統領の統治に反対するデモ隊(Getty Images)

チュニジアのサイード(Kais Saied)大統領は15日、今年12月に予定されている議会選に先立ち、選挙法を一部修正したと発表した。

政府報道官によると、下院の定数は217名から161名となり、政党名簿比例代表は廃止され、小選挙区制のみになるという。

サイード氏は昨年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を独占した。

野党と活動家はサイード氏の強硬措置をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。議会は今年3月に解体された。議会選は12月17日に行われる予定。

サイード氏は15日の閣議で、「候補者は己の実力で選挙を戦い、勝利した後もその責任を負い、国民のために働かなければならない」と語った。

サイード氏の新ルールによると、「役目を果たさない」国会議員は、その議員が選挙で獲得した票の10%の有権者が解任を要求すれば、即解任されるという。

イスラム政党「アンナハダ(Ennahda)」を含むいくつかの野党は議会選のボイコットを表明している。

野党と欧米の批評家はサイード氏が民主主義を脅かしていると非難しているが、国民の半数近くが政治エリートと呼ばれる富裕層に不満を表明し、利権に興味を示さず、汚職を根絶すると約束しているサイード氏を支持しているように見える。

チュニジアの経済はこの10年、ほとんど成長していない。

サイード氏は閣議の中で、議会選には全ての政党が自由に参加できると主張。「新ルールは諸外国の制度を参考にしたものであり、国民は政党ではなく、好きな候補に投票できる」と説明した。

チュニジアは2011年のジャスミン革命で独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)を追放し、民主主義を確立した。

チュニジア、首都チュニス、サイード大統領の統治に反対するデモ隊(Getty Images)
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