◎エチオピアは今年2月、大エチオピア・ルネサンスダムの1基の発電を開始した。
2021年5月30日/エチオピア、首都アディスアベバで開催された大エチオピア再生ダム関連の集会(Mulugeta Ayene/AP通信)

エチオピア外務省は10日、ナイル川の支流のひとつである青ナイル川で建設を進める巨大水力発電ダム「大エチオピア・ルネサンスダム(Grand Ethiopian Renaissance Dam)」について、エジプトとスーダンとの3カ国協議再開を示唆した。

AP通信よると、同国の駐米大使であるペケレ(Sileshi Bekele)氏は米国の新在エチオピア大使ハマー(Mike Hammer)氏と会談した際、協議再開に意欲を示していたという。

同外務省は声明の中で、「エチオピアはアフリカ連合(AU)が主導する大エチオピア・ルネサンスダムをめぐる協議の再開に関心がある」と述べている。

数十億ドルをかけたこの巨大プロジェクトは、数百万のエチオピア人に電力を供給すると期待されているが、スーダンとエジプトは最も重要な水源であるナイル川の水量が減少すると警戒している。

3国はこれまで何度か交渉を行ってきたが、水を貯めるスピードや干ばつが発生した際の取り決めなどは未解決のままである。エジプト政府は紛争に備え、拘束力のある法的合意を求めている。

エチオピアは今年2月、同ダムの1基の発電を開始した。

外務省の報道官は10日の記者会見で、「3回目の注水は今年予定通りに行う」と語った。

建設工事は2011年に着工したが、資金の横領や設計変更などの影響で工期に大幅な遅れが生じている。

エチオピア政府は昨年、4つある分水口のうち3つを閉鎖すると発表し、近隣諸国を驚かせた。

この結果、ナイル川下流の水位は急速に低下し、スーダンの灌漑や水供給を支えているポンプ場の運用に影響が出たと伝えられている。

国連安保理は3カ国協議を何度も開催しているが、現時点で大きな進展はみられず、一部の専門家は水戦争に発展しかねないと懸念を表明している。

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