◎エチオピア北部を含む東アフリカの一部地域では大飢饉が発生する可能性がある。
エチオピア北部ティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)は11日、政府が提案しているアフリカ連合(AU)仲介の和平交渉に参加する意思があると表明した。
政府はAU仲介による和平交渉を提案していたが、TPLFはAUの調停者に任命されたナイジェリアのオバサンジョ(Olusegun Obasanjo)元大統領とアハメド(Abiy Ahmed)首相が緊密な関係にあると指摘し、これを拒否していた。
軍とTPLFの戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が隣国スーダンなどに逃亡したとされる。
米国と国連はティグライ州を含む北部地域で大飢饉が発生する可能性があることを受け、TPLFに圧力をかけている。
TPLFのレダ(Getachew Reda)報道官は11日の声明で、「AU仲介の交渉に参加する意思がある」と述べ、国連監視員などの中立な立場の調停者が交渉に参加することを期待していると表明した。
エチオピア政府はいつでもどこでも、前提条件なしで交渉を行う用意があると述べている。一方、TPLFはティグライ州の基本的なサービス(水道、電話、インターネットなど)の復旧や、北部地域に攻め込んでいるとみられる隣国エリトリアの軍隊の撤退などを要求している。
米国、国連、AUは11日、TPLFの声明を歓迎した。また米国はエリトリア政府に撤退を要求した。
世界で最も閉鎖的な国のひとつであるエリトリアはティグライ州の市民を虐殺したと告発されているが、沈黙を続けている。
国連はウクライナ南部の港からティグライ州向けの穀物を送ったものの、エチオピア軍が同州を完全包囲し陸路が使用できないため、この物資は同州に届いていないとみられる。
同国の北部ではここ数十年で最悪の干ばつが進行中であり、ティグライ州だけで数百万人が人道支援を必要としている。