◎交渉の内容は一切公表されておらず、メディアもシャットアウトされている。
2021年7月2日/エチオピア、北部ティグライ州近郊(AP通信)

南アフリカの首都プレトリアで26日、エチオピア内戦の当事者が参加する和平交渉2日目が開かれた。

報道によると、交渉を仲介するアフリカ連合(AU)は少なくとも30日まで交渉を続けると示唆している。

AFP通信によると、仲介役に任命されているナイジェリアのオバサンジョ(Olusegun Obasanjo)元大統領とケニアのケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)前大統領は取材に応じなかったという。

交渉の内容は一切公表されておらず、メディアもシャットアウトされている。

AUのマハマト(Moussa Faki Mahamat)委員長は25日の声明で交渉開始を歓迎し、内戦終結に向けた取り組みを支援すると改めて表明した。

エチオピア軍と北部ティグライ州を実行支配する反政府勢力「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」の紛争は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。

軍とTPLFの戦闘は今年8月末に再開され、5カ月間維持された人道的停戦は破綻した。

TPLFは先月、AU仲介の和平交渉に応じると表明したが、エチオピア軍は隣国エリトリアの部隊と協調してティグライ州に攻撃を仕掛けているとみられる。

国連はティグライ州の市民推定600万人が紛争の影響で食料をまともに確保できず、壊滅的な人道危機が発生すると警鐘を鳴らしている。

西側のメディアは同州への立ち入りを禁じられている。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグランディ(Filippo Grandi)高等弁務官は25日、「平和への道」を切り開くよう当事者に要請した。

米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官も同日、紛争の永続的な解決を達成するよう呼びかけた。米国はハマー(Mike Hammer)特使を交渉に派遣している。

紛争当事者が公の場で協議するのは今回が初めてである。欧米当局者によると、これまでの秘密交渉は米国が企画し、セイシェルとジブチで2回行われたという。

仲介役にはナイジェリアのオバサンジョ氏、ケニアのケニヤッタ氏、そして南アフリカのヌクカ(Phumzile Mlambo-Ngcuka)元副大統領が任命されている。

一方、エチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相は先週、交渉に言及することなく、「戦争は終結し、平和が訪れるだろう」と声明を発表した。

これに対し、TPLFのレダ(Getachew Reda)報道官は23日にツイッターを更新し、政府に敵対行為の即時停止とエリトリア軍の撤退を求めた。

TPLFの指導者ゲブレミカエル(Debretsion Gebremichael)議長は24日、より攻撃的な口調で「ティグライ州に侵入した連合軍は葬り去られるだろう」と声明を発表した。TPLFはアビー氏が2018年に政権を取るまで連立与党を率いていた。

内戦の犠牲者は数万人と推定されているが、正確な数は不明である。

米国のトーマスグリーンフィールド(Linda Thomas-Greenfield)国連大使は先週の安保理会合で、「この2年で最大50万人が死亡した」と推定した。

2019年12月10日/ノルウェー、オスロの市庁舎、ノーベル平和賞を受賞したエチオピアのアビー・アハメド首相(Getty Images/AFP通信)
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