◎ティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)は空爆を「無慈悲」と呼び、政府を非難した。

エチオピア北部ティグライ州のテレビ局は26日、エチオピア軍が州都メケレの幼稚園を空爆し、子供を含む複数人が死傷したと報じた。

ティグライテレビ(Tigrai Tv)によると、レッドキッズパラダイスと呼ばれる幼稚園は26日午後に空爆を受けたという。同局はバラバラになった遺体の映像を報じている。

別のメディアは幼稚園近くの民家も破壊されたと伝えている。

ティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)は空爆を「無慈悲」と呼び、政府を非難した。

TPLFのレダ(Getachew Reda)報道官は26日、「アビィ政権は幼稚園を意図的に狙った」とツイートした。

TPLFは空爆で何人死亡したかは明らかにしていない。しかし、メケレの医療機関はツイッターに、「子供2人を含む4人の死亡を確認し、13人が重軽傷を負ったという情報を得ている」と投稿している。

エチオピア政府はこの空爆に関する声明を出していない。

しかし、政府報道官は26日午前に発表した別の声明で、「我々は平和を踏みにじり、暴力を扇動しようとするTPLFに対応する」と警告していた。

ティグライテレビはTPLF高官の話を引用し、市内の軍事・訓練施設に近づかないよう市民に警告した。

国軍とTPLFの戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が隣国スーダンなどに逃亡したとされる。

国軍は2020年11月末にティグライ州と周辺地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFは北部地域に拠点を置く他の反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成。昨年6月の奇襲攻撃でティグライ州の支配権を取り戻した。

内戦が本格化した昨年末、TPLFの部隊はティグライ州に撤退し、その後政府も大規模攻撃を控えた。そして3月末、TPLFは政府が提案した「無期限の人道的停戦」に合意し、内戦はひとまず終結した。

しかし、TPLFは24日エチオピア軍が同州に対する攻撃を再開したと報告。人道的停戦は破綻した。

政府とTPLFの和平交渉は遅々として進まず、政府報道官は先週、「TPLFが和平交渉を拒否している」と不満を表明していた。

政府はアフリカ連合(AU)仲介による和平交渉を求めているが、TPLFはAUの調停者に任命されたナイジェリアのオバサンジョ(Olusegun Obasanjo)元大統領とアハメド(Abiy Ahmed)首相が緊密な関係にあると指摘し、これを拒否している。

TPLFはAUを批判する一方、市内のインターネットや電話サービスの復旧を求めている。政府はティグライ州へのメディア立ち入りを禁じているため、市内の状況はほとんど明らかにされていない。

内戦はティグライ州と隣接するアムハラ州やアファール州にも影響を与え、数百万人が飢餓に直面している。

ティグライ州出身である世界保健機関(WHO)のテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は25日、戦闘再開に重大な懸念を表明し、国際社会に即時の行動を呼びかけた。「そこで何が起きているのか、誰が死んだのか、何人死んだのか、何も分かりません。どうすればよいのですか?本当にどうしようもない...」

スポンサーリンク