◎政府とTPLFの紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~最大60万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。
2021年3月23日/エチオピアのアビー・アハメド首相(Getty Images)

エチオピア政府は3日、アビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相が反政府勢力「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」の指導者らと直接会談したと明らかにした。

政府とTPLFの紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~最大60万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。

双方は昨年11月に和平協定を結び、ティグライ州に攻め込んだエリトリア軍も撤退したと伝えられている。同州では復興に向けた作業が進んでいるとみられるが、海外メディアは州内への立ち入りを禁じられているため、現場の状況を把握することは不可能である。

紛争はティグライ州だけでなく近隣のアムハラ州とアファール州にも波及し、数百万人が飢餓の瀬戸際に立たされている。

アビー氏は南部の政府施設にTPLFの指導者らを招いた。

首相府の国家安全保障顧問は3日、ツイッターに声明と写真を投稿。「アビー首相は和平プロセスの進展について、TPLF代表団と協議した」と説明した。

国営テレビも会談の様子を報じている。

顧問は「協議の結果、アビー首相はTPLFの取り組みを評価し、ティグライ州の市民生活を改善するために、公共交通機関の増便、銀行業務、その他の問題を解決する取り組みを承認した」と述べている。

TPLFは和平交渉の条件として、外界から完全に遮断されたティグライ州へのアクセスの回復と戦闘の即時停止などを求めていた。

和平協定調印後、TPLFは武装を解除し、州内の政府施設や警察は業務を再開した。

国営テレビによると、今回の協議は昨年11月に発足した和平協定を監視する委員会が主催したもので、アビー氏とTPLFの代表団が直接会談したのは紛争開始以来初めてだという。

国営テレビは政府関係者の話を引用し、「双方は和平協定後の取り組みを評価した」と報じている。

また双方は「注意を払うべき問題についても協議した」としているが、詳細は不明である。

紛争に参戦したとされるエリトリア軍やアムハラ州の民兵などはティグライ州から撤退したと伝えられている。しかし、アムハラ州では和平協定締結後も民族間衝突が報告され、多くの民間人が犠牲になっているようだ。

北部地域で数千の兵力を有するオロモ解放軍(OLA)は政府とTPLFの和平交渉に参加しておらず、協定を非難している。

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