◎エチオピアとソマリランドの首脳は先月、ソマリランド領内におけるエチオピアの海岸利用を許可する覚書に署名した。
ノーベル平和賞を受賞したエチオピアのアビー・アハメド首相(Getty Images/AFP通信)

エチオピアのアビー(Abiy Ahmed)首相は6日、隣国ソマリアとの緊張が高まっていることについて、戦争に発展する可能性を全否定した。

エチオピアとソマリランドの首脳は先月、ソマリランド領内におけるエチオピアの海岸利用を許可する覚書に署名。これにより、世界で最も人口の多い内陸国であるエチオピアはソマリランドの海岸線に海軍基地を建設できるようになった。

ソマリランド(旧イギリス領)は1991年にソマリア(旧イタリア領)から独立。国連は同国の独立を承認していないが、台湾は2020年に外交関係を結び、米国を含む10カ国が首都ハルゲイサに駐在員事務所、ケニアとエチオピアは外交使節団の公館を設置している。

アビー氏はこの見返りとして、将来ソマリランドの独立を承認することに合意した。

この覚書は「ソマリランドはソマリアの一部である」と主張するソマリア国民を動揺させた。

ソマリアのモハムド(Hassan Sheikh Mohamud)大統領はエチオピアの港湾計画を阻止すると強調。「戦争も辞さない」と示唆した。

アビー氏は6日の国会演説で「ソマリアと戦争するつもりはない」と強調した。「内戦下にあるソマリアを支援する任務で、何千人ものエチオピア人が命を落としています。そのソマリアと戦争するなどあり得ません...」

またアビー氏は「ソマリアの発展に尽力し、今後もイスラム過激派との戦いを支援し続ける」と述べた。

エチオピアは1993年にエリトリアが分離独立したことにより、海へのアクセスを失った。エチオピアは輸出入のほとんどを隣国ジブチの港で行っている。

国際テロ組織アルカイダ系列の過激派アルシャバーブもこの覚書を非難し、エチオピアへの攻撃を激化させると警告している。

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