◎国軍とティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。
2022年2月15日/エチオピア、首都アディスアベバの通り(Getty Images/AFP通信)

2月15日、エチオピア議会は北部ティグライ地域で進行中の内戦が収束しつつあることを踏まえ、昨年11月に公布した国家非常事態宣言の早期解除を承認した。

アビィ・アハメド首相は先月末、内戦が大きく進展したことを踏まえ、当初は6カ月間を予定していた宣言の早期解除を決めた。

国軍とティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。

国軍は2020年11月末にティグライ地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFは北部地域などで活動する反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成し、昨年6月の奇襲攻撃でティグライ地域の支配権を取り戻した。

TPLFは昨年12月初めに本拠地のティグライ州に撤退し、その後政府も大規模な侵攻を控えていた。

AP通信によると、ティグライ地域の部族数千人が非常事態下で拘束されたが、その大半は12月末までに解放されたという。

連邦議会はアビィ政権の宣言早期終了を賛成多数で承認したものの、拘束されている市民の解放時期は明らかにされなかった。

公共放送FANAは15日、「調査委員会は1カ月以内に未解決の作業を終了し、関係機関に報告するよう指示された。また司法機関も国家非常事態法関連の事件を通常の司法手続きで終わらせるよう指示されている」 と報じた。

連邦議会の諮問委員会は採決に先立ち、「国家非常事態の早期解除は同国の経済・外交状況を回復させるうえで重要」と声明を発表した。

FANAによると、諮問委員会の一部の委員は国軍と戦争状態にあるTPLFやオロモ解放戦線などが活動を継続していることに懸念を表明したという。

議会議長は演説の中で、「北部のアムハラ州やアファール州で進行中の脅威は、新たに導入される是正措置で処理されるだろう」と述べた。

AFP通信によると、ティグライ州やアムハラ州内の戦闘は沈静化しているものの、北東部アファール州では小規模な戦闘が各地で報告されているという。

エチオピア政府は昨年6月以来、TPLFの支配地域に対する国際社会の人道支援を阻止しており、数十万人が餓死の危機に瀕している。

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