◎政府は地元メディアの報道をフェイクニュースと非難し、ティグライの治安は安定していると主張した。
2020年11月15日/エチオピア、北部ティグライ地域の非戦闘地帯、エチオピア軍の兵士(Getty Images/AFP通信)

地元メディアによると、エチオピア北部のティグライ地域で政府軍と反政府勢力が激しく衝突したという。

英BBCニュースの取材に応じた戦闘の目撃者は、反政府勢力のティグライ国防軍(TDF)がいくつかの町を占領したと述べた。

しかし、政府は地元メディアの報道をフェイクニュースと非難し、ティグライの治安は安定していると主張した。

政府は昨年11月末、ティグライ地域を支配していた主要野党のティグレ人民解放戦線(TPLF)との紛争は終結したと宣言したが、一部の指導者は拘束されておらず、各地でゲリラ戦を続けていると伝えられている。TPLFは他の反政府勢力と連合を組み、TDFを結成した。

一連の紛争で数千人が死亡し、推定200万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンの難民キャンプに避難を余儀なくされた。

国連は先日、ティグライ地域の住民推定500万人が速やかな食料援助を必要とし、35万人以上が壊滅的な飢餓の影響で餓死しかけていると報告した。

エチオピアの主要都市では21日に総選挙の投票が行われたが、ティグライ地域の投票は延期されている。

2020年11月/エチオピア、北部ティグライ地域、ティグレ人民解放戦線(TPLF)の兵士たち(ロイター通信)

地元メディアによると、ティグライ国防軍(TDF)のスポークスマンは声明で、「先週からいくつかの町への攻撃を開始した」と述べたという。「戦闘員は政府軍の車両を破壊し、兵士を何人か拘束した...」

BBCに取材に応じた目撃者は、「TDFはエリトリアとの国境近くに位置するアディグラトに入った」と語った。アディグラドはエリトリアの国境から約45kmほど南に位置する町で、地元メディアは戦略的に重要な町と報じた。報道が事実であれば、反政府勢力は昨年11月以来、約8か月ぶりに侵攻を開始したことになる。

TDFの戦闘員はティグライの州都メケレの北と南のいくつかの町でも確認されたと伝えられている。

陸軍の報道官は22日、「ティグライで戦闘が発生したことを確認したが、町は占領されておらず、国軍の兵士が拘束されたという情報も誤り」と述べた。

報道官はテロリストの指導者を捕らえる作戦は進行中であり、現時点で何かしらの重要な局面を迎えたという報告は受けていないと強調した。

エチオピア軍は2018年に和平協定を結んだ隣国エリトリアの支援を受け、TPLFへの攻撃を開始した。エリトリア軍はTPLFを天敵と見なしている。ティグライの一部地域ではエリトリア軍の兵士によるティグライ人の大量虐殺が発生したと伝えられているが、エチオピアのアビィ・アハメド首相はこの報告を却下した。

アビィ首相は21日、BBCのインタビューの中で、「エリトリア軍と協力してTDFを撤退させるが、国外には追放しない」と述べた。

またアビィ首相はティグライで食糧問題が発生していることは認めたが、国連の飢餓が進行しているという報告は否定し、「政府は問題に対処できている」と強調した。

アビィ首相は2018年にエリトリアとの歴史的な和平を達成し、翌年ノーベル平和賞を受賞した。

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