◎エリトリア政府は18歳~40歳までの全国民に兵役を義務付けており、エチオピア北部ティグライ州の紛争に関与したと告発されている。
国連人権理事会は6日、エリトリアの人権状況を「悲惨」と指摘し、改善の兆しが全く見えないと嘆いた。
エリトリアは世界で最も閉鎖的な国のひとつであり、「アフリカの北朝鮮」と呼ばれ、1993年にエチオピアから独立して以来、アフウェルキ(Isaias Afwerki)大統領の鉄拳によって統治されてきた。
同理事会はレポートの中で、「エリトリアの人権状況は悲惨であり、改善の兆しが見えず、処刑・拷問・失踪が横行している」と説明した。
また同理事会は情報提供者の話を引用し、「人権侵害は深刻で、非人道的な拘束など、信頼できる多くの報告を受けている」と述べた。
同理事会はこれらの人権侵害が指導部の決定に基づいて行われているとし、国際社会とのつながりを断つアフウェルキ政権を批判した。
エリトリア政府は18歳~40歳までの全国民に兵役を義務付けており、エチオピア北部ティグライ州の紛争に関与したと告発されている。
エチオピア軍とティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~最大60万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃れたと推定されている。
エリトリア軍はエチオピア政府を支援し、宿敵TPLFを攻撃するためにティグライ州に侵攻。TPLFの戦闘員だけでなく民間人も虐殺したとされる。
米国はエリトリア軍が紛争中に残虐行為を行ったと非難しているが、アフウェルキ氏はこの告発を「空想」と笑い飛ばした。
ティグライ紛争の実態はほとんど明らかになっておらず、正確な死傷者数は不明のままである。アフリカ連合(AU)はわずか2年で最大60万人が死亡したと推定している。
アフウェルキ氏は今年1月、ケニアのルト(William Ruto)大統領と会談し、エリトリア軍がティグライ州に侵攻したという告発を「空想」「夢物語」と一蹴した。
政府とTPLFは昨年11月に和平協定を結び、紛争は終結した。