◎エジプトとスーダンはロシアのウクライナ侵攻以来、インフレで大きな打撃を受け、穀物の輸入でも頭を悩ませている。
2022年3月30日/エジプト、首都カイロの政府庁舎、シシ大統領(右)とスーダンのバーハン将軍(Egyptian Presidency/AP通信)

スーダンの軍事政権指導者は30日、初めてエジプトを公式訪問し、シシ大統領と会談した。

エジプト国営テレビによると、バーハン将軍の到着とその後のセレモニーは生中継されたという。

シシ大統領はカイロの国際空港でバーハン将軍を歓迎し、大統領官邸で二国間の問題について協議した。

スーダン軍は昨年10月末にハムドゥーク首相(当時)と政府高官を拘束し、軍民合同政府「ソブリン評議会」を解散させ、紆余曲折の末、新たな協定に基づく新政府「主権評議会」を発足させた。

しかし、協定の内容は一切明らかにされておらず、民主主義を求める団体や野党勢力は軍の権力が強化された可能性に懸念を表明し、各地で抗議デモを続けている。

2019年の無血クーデターを主導したスーダン医師会によると、これまでに市民少なくとも92人がデモ中に殺害され、3,000人近くが重軽傷を負った。

エジプトとスーダンはロシアのウクライナ侵攻以来、インフレで大きな打撃を受け、穀物の輸入でも頭を悩ませている。

特にスーダンはアフリカの統治機関や一部の西側諸国に制裁を科されているため、経済的に苦しい状況が続いている。国際的な援助を失った結果、穀物、電気、ガソリンの価格は急騰した。

会談後に発表された共同声明によると、両国はエチオピアの大エチオピア再生ダム(ナイル川の主流のひとつに建設)をめぐる問題についても協議したという。エチオピアは貯水と発電をすでに開始しているが、水を貯めるスピードや干ばつが発生した際の取り決めなどは未解決のままである。

スーダンとエジプトは干ばつが発生した際、下流への放水量が制限されることで深刻な水不足が発生すると懸念しており、紛争に備え拘束力のある法的な合意を求めている。

スーダンの民主勢力は文民統制と軍事政権の解散を求めているが、バーハン将軍は選挙で選ばれた者にのみ権力を譲ると主張している。選挙は2023年7月に行われる予定。

一方、エジプトは近年、スーダンと密接な関係を築き、2021年3月には軍事関係を強化する協定に署名した。エジプト政府はスーダンの行き詰まりが南スーダンとの関係をさらに不安定にすると懸念している。

シシ大統領は昨年、スーダンを訪問した。

2021年10月30日/スーダン、首都ハルツームで開催された抗議デモ(Marwan Ali/AP通信)
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