◎計画によると、シナイ半島側(サウジアラビア側)の最南端の全長30kmを東に約40m拡張し、水深も現在の約20mから22mまで深くする予定だという。
5月11日、エジプト政府は3月末に発生したスエズ運河の封鎖事故を受け、運河の一部を拡張する計画を発表した。
愛媛県今治市に本拠を置く船舶リース会社の正栄汽船が所有するエバーギブン号は、3月23日にアジアとヨーロッパを最短ルートで結ぶスエズ運河のど真ん中で座礁し、世界を困惑させた。
3月29日に通せんぼを解消したエバーギブン号は現在、運河の南のグレートビター湖に停泊している。正栄汽船とスエズ運河庁(SCA)の補償問題に関する交渉の詳細は明らかにされていない。
SCAのオサマ・ラベイ長官は都市イスマイリアで行われた式典の中で計画の詳細を発表した。式典にはアブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領と政府高官も出席していた。
計画によると、シナイ半島側(サウジアラビア側)の最南端の全長30kmを東に約40m拡張し、水深も現在の約20mから22mにする予定だという。
この計画には、2015年に開通した運河の第二ルートの延長(10km)も含まれている。拡張が完了すれば2車線ルートは計82kmになり、より多くの船舶が運河を通過できるようになるという。エバーギブン号は1車線部で座礁した。
スエズ運河の封鎖は世界の海運に大きな影響を与えた。
一部の船舶は南アフリカの喜望峰ルートへの迂回を余儀なくされ、追加の燃料費やその他の費用を計上した。その他の数百隻は運河の北と南で封鎖の解除を待ち、積み荷の到着を待っていた企業や関係者に打撃を与えた。
海運の専門、ロイズリストのデータによると、スエズ運河西ルートを通過する商品の価値は1日あたり約5,600億円、東ルートは約5,000億円にのぼり、運河を管理するエジプト政府は1日あたり最大15億円の収入を得ているという。2020年にスエズ運河を通過した船舶は約19,000隻だった。