◎コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのあるイスラム過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
2021年7月23日/コンゴ民主共和国、北キブ州ベニ郊外の道路、遺体を収容する陸軍兵士(Al-hadji Kudra Maliro/AP通信)

国連のデュジャリック(Stephane Dujarric)報道官は13日、コンゴ民主共和国の北東部イトゥリ州で民間人少なくとも32人が反政府勢力に殺害されたと発表した。

デュジャリック氏は記者会見で、武装勢力「コンゴ開発協同組合(CODECO)」が民間人少なくとも20人、イスラム国(ISIS)系組織が12人を殺害したと明らかにした。

デュジャリック氏はコンゴ東部の現状を「混乱」と評し、「PKO部隊も移動範囲を制限されているため、現地の状況を正確に把握することは困難」と述べた。

政府とCODECOの紛争は2017年に勃発し、この数カ月で劇的に悪化したと報告されている。東部の北キブ州当局によると、CODECOは先月、民間人を少なくとも32人処刑したという。

国連は昨年末、東部の反政府勢力が支配地域を拡大し、民間人やコンゴ軍への攻撃を繰り返していると指摘した。

コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのあるイスラム過激派など、120以上の武装勢力が活動している。これらの勢力は土地や鉱物の支配権をめぐって争い、コンゴ軍だけでなく国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)にも攻撃を仕掛けている。

北キブ州ではこの地域で最大の武装勢力とされる「3月23日運動(M23)」が猛攻を仕掛けており、広大な領土が占領したとみられている。

M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成される武装勢力で、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。

しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、2013年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。昨年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。

コンゴ政府、米国、国連の専門家はルワンダ政府がM23を支援していると指摘しているが、ルワンダはこの主張を否定している。

1994年のルワンダ大虐殺で告発されているフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。

M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているとみられる。

コンゴとルワンダの首脳は昨年のアンゴラサミットで協定を結び、M23に撤退を求めたが、地元住民によると、攻撃は一向に止まず、むしろ激しくなったという。

AP通信によると、M23の大隊は先週、州都ゴマ郊外の複数の町・村に向かって前進し、住民6万5000人以上が避難を余儀なくされた。

M23の攻勢でゴマは孤立し、支援物資を送ることも困難になっているようだ。

MONUSCOはゴマに拠点を置いている。

今月初めには北キヴ州郊外でPKOヘリが銃撃を受け、南アフリカの要員1人が死亡、もう1人が負傷した。

2022年7月26日/コンゴ民主共和国、東部ゴマの国連PKO基地前(Getty-Images/AFP通信)
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