◎ロイター通信は、「亡くなった15人のうち9人は交通事故に巻き込まれ死亡した」と報じた。
2021年5月23日/コンゴ民主共和国、東部の都市ゴーマ(AP通信/Justin Kabumba)

現地メディアによると、5月22日遅くに噴火したニーラゴンゴ山の溶岩はルワンダとの国境の都市ゴーマの住宅街の外れに到達したという。当局は23日の声明で、「これまでに15人の死亡を確認した」と述べた。

ゴーマはニーラゴンゴ山の南約15kmに位置する人口約200万人の都市で、地域内には多くの人道機関事務所があり、国連コンゴ民主共和国ミッション(MONUSCO)も拠点として利用している。

現地メディアによると、被災地域の捜索はほとんど進んでおらず、ゴーマと北部のベニ市を結ぶ高速道路が溶岩に飲み込まれた影響で住民や関係機関の移動に支障が出ているという。

ロイター通信は、「亡くなった15人のうち9人は交通事故に巻き込まれ死亡した」と報じた。

州政府のパトリック・ムヤヤ報道官は23日、刑務所から脱獄しようとした囚人4人のうち2人が溶岩に飲み込まれ、残り2人は射殺されたと述べた。

一方、ユニセフによると、地域内で生活している児童170人以上と連絡が取れず、別の150人は家族と離れ離れになったという。

溶岩はゴーマ郊外の町、ブヘネ地区の手前で止まったが、民家を500棟以上焼き払い、その他の建造物や道路に甚大な被害をもたらした。ブヘネ地区の住民、イノセント・バハラシャマブ氏はAP通信の取材に対し、「溶岩は家を焼き、車やバイクを破壊しました」と述べた。

2021年5月23日/コンゴ民主共和国、東部の都市ゴーマ、溶岩は住宅街の外れに到達した(ロイター通信/ゲッティイメージズ)

AP通信は、「ゴーマと北部のベニ市を結ぶ高速道路が封鎖された影響で、支援物資、食料品、医薬品などの供給に支障が出ている」と報じた。溶岩は東部のゴーマ空港にも到達したと伝えられているが、復旧作業を開始できる見通しは立っていないという。

州政府はニーラゴンゴ山の周辺地域で地震が続いていると述べ、「住民は警戒を怠らず、無駄な移動は避け、当局の指示に従ってほしい」と警告した。地元メディアによると、23日午後の時点で避難所は開設されておらず、自宅に戻れない住民は途方に暮れているという。

ニーラゴンゴ山が最後に噴火したのは2002年で、当局の記録によると、少なくとも250人が死亡し、約12万人が住居を失い、ゴーマ空港の滑走路は溶岩に覆われ、インフラは完全にマヒしたという。

政府は噴火から数時間に避難計画を発表したが、火口周辺の住民はすでに自宅を離れ徒歩で隣国ルワンダの国境検問所や高台に避難していた。

ルワンダの入国管理局は、3,000人以上がコンゴから公式に国境を越えて入国したと発表した。

ゴーマの住民、リチャード・バハティはAFP通信の取材に対し、「空は赤く染まり、人々は逃げまどっていた」と述べた。

住民のアイリーン・バウマ氏は、「生活再建には政府の支援が欠かせない」と訴えた。「私たちは土地、自宅、家具、すべてを失いました。炎と煙に巻き込まれて死んだ人もたくさんいます。私たちを助けてください。政府は今すぐ救援を送ってください」

ゴーマに拠点を置くノルウェー難民協議会のトム・ペイレ・コスタ氏は英BBCニュースのインタビューの中で、「溶岩の進行速度は遅かったが、止まらなかった」と述べた。「地域の人道機関は支援に向けた行動を開始しています...」

ニーラゴンゴ山は世界で最も活発な火山のひとつとして知られている。地元メディアによると、コンゴ政府の汚職問題に対する世界銀行の援助削減の影響で、ゴーマ火山観測所の運営に影響が出ていた可能性があるという。

2021年5月23日/コンゴ民主共和国、東部の都市ゴーマ、ニーラゴンゴ山と住民たち(AP通信/Justin Kabumba)
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