◎米政府高官のリビア訪問は異例。
米中央情報局(CIA)のバーンズ長官(Getty Images)

リビア当局は12日、米中央情報局(CIA)のバーンズ(Bill Burns)長官が首都トリポリを訪問し、ドベイバ(Abdul Hamid Dbeibah)首相と会談したと発表した。

米政府高官のリビア訪問は異例。

国連の承認を受けるトリポリ政府は声明で、「バーンズ氏とドベイバ首相は安全保障、経済、国際協力の問題について協議した」と述べている。

また同政府はふたりが握手している写真をSNSに投稿した。

会談が行われた日時は明らかにされていない。米政府はバーンズ氏のリビア訪問に関する声明を出していない。

AP通信は関係筋の話を引用し、「バーンズ氏は1988年のパンアメリカン航空103便爆破事件の爆弾を製造した罪に問われている元リビア情報局員の身柄が先月、米国に引き渡されたことを受け、リビアを訪問した」と報じている。

米政府は先月、103便爆破に関与したとされるアブアジェラ・マスード・ヘイル・マリミ(Abu Agela Mas'ud Kheir Al-Marimi)容疑者の審理がワシントンD.C.で始まると発表した。

リビアは米国と引き渡し協定を結んでおらず、ドベイバ政権による容疑者の引き渡しはその合法性に疑問が呈された。

一方、ドベイバ氏と東部の港町シルトに拠点を置くもうひとつの政府を率いるバシャガ(Fathy Bashagha)首相は昨年3月頃から権力闘争を続けている。

ドベイバ氏は2021年後半に予定されていた選挙を実施できず、国際社会を失望させた。

リビアは2011年のカダフィ(Muammar Gaddafi)大佐討伐以来、権力闘争・混乱・暴力から抜け出せずにいる。東西に設置された政府による対立が収束する見通しは全く立っていない。

両陣営を支持する地元の武装民兵は人身売買や誘拐で富を築き、勢力を拡大してきた。

ロンドンからニューヨークに向かっていた103便は1988年12月21日、離陸から38分後にスコットランドのロッカビー上空で爆破され、米国人190人を含む乗客乗員259人および、落下した機体の残骸によって地上にいた11人が死亡した。

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