◎チャドの食料供給は劇的に悪化しており、多くの国民が飢餓に直面する可能性がある。
2017年6月29日/チャドの穀物販売店(Getty Images/AFP通信)

アフリカ中部のチャドは2日、食料緊急事態を宣言し、同盟国と国際機関に支援を呼びかけた。

政府の報道官はすべての国際的なパートナーに支援を求めたうえで、「国内の食料供給は劇的に悪化しており、多くの国民が飢餓に直面する可能性がある」と警告した。

国連は昨年、チャドの人口の3割以上にあたる550万人が人道支援を必要としていると推定していた。この数はウクライナ侵攻後の食料価格高騰で増加したと考えられている。

米マサチューセッツ工科大系のWEBサイト「経済複雑性観測所(OEC)」によると、ロシアは2020年の小麦輸出量世界2位、ウクライナは3位であった。同年、アフリカ大陸はロシアから40億ドル相当の農作物を輸入している。

特に貧しい国々のロシア依存度は高く、農作物の50%以上をロシアから輸入していた。

アフリカ連合(AU)議長は3日、ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領と会談し、アフリカの食料安全保障問題などについて協議した。

チャドを含む食料と肥料の価格高騰に苦しめられている国々は即時停戦、ウクライナ南部に滞留している穀物およびロシアの肥料輸出再開を切望している。

AU議長であるマッキー・サル(Macky Sall)大統領はブリュッセルで5月31日に行われたEU首脳会議に宛てた声明で、ウクライナの利用可能な穀物を解放するために、できる限りのことを行うようよう求めた。

アフリカ諸国はロシアの一部銀行が西側諸国の制裁でSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除された影響を強く受けている。SWIFTを利用しているアフリカの銀行はロシアの輸入品代金を支払うことができなくなった。

プーチン氏は「西側諸国が制裁を解除」するのであれば、ウクライナの穀物輸送再開に向けた取り組みを進める用意があるとしている。

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