▽このパスポートは特定の条件を満たした市民のビザ(査証)なし入国を許可するもので、ブルキナ、マリ、ニジェールの3カ国で有効となる。
アフリカ西部・ブルキナファソの軍事政権が1日、サヘル諸国連合(AES)の関係強化を進める取り組みの一環として、「AESパスポート」を発行した。
暫定大統領のトラオレ(Ibrahim Traore)大尉は式典でパスポートを受け取り、「同盟国との連携を強化し、イスラム過激派との戦争に勝利する」と誓った。
このパスポートは特定の条件を満たした市民のビザ(査証)なし入国を許可するもので、ブルキナ、マリ、ニジェールの3カ国で有効となる。
この3カ国は10年以上にわたってサヘル地域に拠点を置く国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織と戦ってきた。
しかし、3カ国は軍事クーデター後、旧宗主国フランスや米国との関係を断ち、AESを形成してロシアに接近。マリ軍政はロシアの民間軍事会社ワグネルと契約を結び、一般市民を巻き込みながら過激派を掃討している。
3カ国は先月末、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)から正式に脱退した。
ブルキナの首都ワガドゥグでは多くの市民がAESパスポートを称賛。この地域に関する誤った情報の拡散に対抗する一助となることに期待を示している。
AP通信の取材に応じたワガドゥグ在住の男性は、「他国ではAESを悪者扱いしたり、全然機能していないという偽情報が拡散している」と語った。「このパスポートがAESのネガティブなイメージを払拭してくれると期待しています...」
AESパスポートは3カ国間の往来を簡素化し、つながりを深めるツールと多くの市民がみなしている。
パスポートの発行は3日から始まる予定だ。
ブルキナは人口約2000万人の内陸国。22年9月のクーデターで前軍政を追放したトラオレ氏はイスラム過激派との全面戦争を宣言している。
この紛争による死者は数万人、避難者は200万人以上と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。