◎ニタゼンは欧米諸国や東南アジアで広く流通するオピオイドの一種であり、その一部はヘロインの100倍、フェンタニルの10倍の効力があるとされる。
オピオイド系薬物(Getty Images)

スイス・ジュネーブに本拠を置くNGOグローバルイニシアチブ(GI-TOC)は12日、ヘロインより致死率が高い合成オピオイドのニタゼンを含む違法薬物が初めてアフリカで確認されたと明らかにした。

ニタゼンは欧米諸国や東南アジアで広く流通するオピオイドの一種であり、その一部はヘロインの100倍、フェンタニルの10倍の効力があるとされる。

専門家によると、ニタゼンは少量使うだけで高い効果が得られるものの、依存性・中毒性が極めて高く、数ミリ摂取しただけで死亡することもあるという。

GI-TOCはシエラレオネとギニアビサウで調査を行ったとしている。

それによると、シエラレオネで入手した薬物サンプルの約83%からニタゼンが検出されたという。

ギニアビサウではその55%からニタゼンが検出された。

GI-TOCは報告書の中で、「これは極めて強力な合成オピオイドの一種であるニタゼンがアフリカの市場に浸透していることを示している」と述べた。

またGI-TOCは「アフリカの市場でニタゼンを公式に確認したのはこれが初めてであり、シエラレオネとギニアビサウ以外の国でも流通している可能性がある」と指摘した。

世界保健機関(WHO)によると、西アフリカと中央アフリカでは多くの若者が麻薬中毒になっており、5.2~13.5%が大麻を使用している。

シエラレオネでは合成麻薬クッシュが大流行している。ビオ(Julius Maada Bio)大統領は今年4月、クッシュが安全保障を脅かしているとして、緊急事態を宣言。関係機関にクッシュを撲滅するよう命じた。

GI-TOCは「両国で薬物を購入した多くの若者がそれにニタゼンが含まれていることを知らず、依存症になっている」と警告した。

それによると、シエラレオネで確認されたニタゼンは他国から持ち込まれたものだという。ギニアビサウで販売されていたクッシュはシエラレオネの首都フリータウンで発見されたものと同じ化学組成であった。

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