コンゴ民主共和国、大統領首席補佐官

フェリックス・チセケディ大統領の首席補佐官バイタル・カメルヘは、汚職の罪により有罪判決を受けた。

20日、カメルヘは同国の裁判所に出廷、約5,000万ドル(53億円)の公的資金横領容疑による有罪判決を受け、20年間の重労働および10年間の大統領選立候補禁止を宣告された。

これに対し支持者たちは、「裁判所はカメルヘ首席補佐官の大統領選出馬を妨害している。コンゴの司法は他の有力者にこびへつらい、金で動く。今すぐ解体し、職員はひとり残らず消し去るべきだ」と主張。5月に発生した裁判官殺人事件は当然であるかのような発言を繰り返した。

チセケディ大統領の職務に最も大きな影響を与える首席補佐官のスキャンダルは、コンゴ民主共和国で発生した汚職事件の中でも、とりわけ注目度が高い。

判決は首都キンシャサの裁判所で言い渡された。カメルヘはチセケディ大統領就任後に発表された住宅開発プロジェクト予算の一部を懐に収め、罪に問われた。また裁判所は、事件に関わったレバノンのビジネスマン、ジャマール・サミーにも20年間の重労働を宣告。政権の担当者1名には懲役2年を科した。

カメルヘの弁護士はAFP通信の取材に対し、「コンゴの憲法によって重労働は禁止されている。我々は上訴するだろう」と述べた。

同国の透明性を高めるために活動している腐敗防止活動家のフロリモンド・ムテバ氏はロイター通信に対し、「首席補佐官への判決は汚職との戦いの前向きな兆候だと理解している。裁判所は正義を貫いた」と述べた。

5月、カメルヘの汚職事件を担当していた裁判官が死亡。警察は心臓発作が原因と発表するも、再調査の結果、頭に鋭利な刃物をつき立てられ殺害されたことが判明した。

当初警察は、「ラファイエル・イェーニー裁判官は心臓発作で死亡したのだろう」とあいまいな声明を発表。これに対し、「いい加減な検視を行うべきではない」と再調査を求められた。セレスティン・タンダ・ヤ・カセンデ法務相は、殺人事件として捜査すると述べた。また、イェーニー氏の遺体から「非致死量の毒性物質」も検出されたという。

カメルヘに対する告発裁判を担当した裁判官が悲惨な死を遂げたことで、「口封じ」「脅迫」「次の裁判官も消される」と言った情報がソーシャルメディア上に拡散した。

スポンサーリンク

ジンバブエ保健相

ジンバブエの保健相を務めるオバディア・モヨは、法廷に出廷したのち、保釈を認められた。

モヨはコロナウイルスのPCR検査機器、医療機器、防護具等の調達に関連するスキャンダルをめぐり、19日に逮捕された。

多くの国民が落胆、失望を隠せずにいる。ソーシャルメディア上には、「国民はウイルスのせいで大切なものをたくさん失った。しかし、政府の高官は我々の生死に興味を示さず、私腹を肥やすことだけに熱中している」など、政府に対する批判的な意見が相次いだ。

モヨは、ハンガリーで登録された新会社とコロナウイルスに関連する2,000万ドル(約21億円)の契約を交わした際、何らかの便宜を図ったと疑われている。なお、政府はコメントを発表していない。

エマーソン・ムナンガグワ政権で汚職の罪に問われた大臣は二人目である。裁判所でモヨの到着を待った記者団によると、彼は側近およびボディガードを伴い、公用車で堂々と法廷に到着したという。

出廷したモヨは、本汚職事件および数件の刑事事件で同時起訴され、パスポートの返還を命じられた。なお、次回出廷日は7月の予定。

地元メディアによると、検察はモヨの保釈に反対していた。しかし、政権中枢および関係者から圧力を受け、認めざるを得なかったと検察関係者は述べた。

2カ月前に誕生したハンガリーの「ドラックス・コンサル」との取引は、ジンバブエ調達登録機関の審査を通過せずに完了したとされている。

野党および汚職を追放すべく活動する団体は、ドラックス・コンサルに支払われた用途不明の200万ドル(約2億円)の調査を依頼。この支払いは、ハンガリー当局もチェックしており、「疑わしい」と報告していた。

先週、ドラックス・コンサルの代表と”思われる”実業家、デリッシュ・グワヤ他計3名がジンバブエ当局に逮捕された。

クーデターによって政権を奪取したムナンガグワ大統領は、3年前の政権誕生以来、様々な汚職事件に直面している。しかし、その多くが証拠不十分として無罪判決を言い渡されている。

多くの国民は疑問を抱いている。「なぜ2カ月前に誕生した新会社(ペーパーカンパニー)が政府との高額な契約に至ったのか」「契約とは一切関係ない200万ドルはどこに消えたのか」

国営ヘラルド紙によると、政府はドラックス・コンサルとの契約を全てキャンセルしたという。これに対し野党は、「臭いモノにはフタをする。大統領と政府は国民のことなど気にもかけず、私腹を肥やすことしか考えていない」とコメントした。

ジョンズ・ホプキンズ大学の調査によると、20日時点のジンバブエの累計感染者数は479人、4人の死亡が確認されているという。なお、50万人以上が深刻な飢餓に苦しみ、ここ10年で最悪レベルの経済危機に直面している同国では、PCR検査自体まともに行われておらず、医療システムも構築されていないに等しい。

専門家は、「同国の感染状況は公式発表よりはるかに深刻。しかし、実態は誰にも分からないし、政府も調査を行う気はないだろう」と述べた。

スポンサーリンク