◎対外債務の処理に追われる国は食料や燃料価格の高騰に対応できず、生活必需品の輸入にひどく苦労している。
2022年4月12日/スリランカ、首都コロンボの給油所近く(Eranga Jayawardena/AP通信)

世界銀行と国際通貨基金(IMF)のトップは20日、コロナウイルスの感染拡大やロシア・ウクライナ戦争などによるインフレが世界の最貧国を圧迫している警告した。

世界銀行のマルパス総裁は記者会見で、「最貧国は膨大な債務の圧力に苦しんでいる」と述べ、問題解決に向けた取り組みを速やかに開始する必要があると指摘した。

世界銀行とIMFの春季総会(4月22日~25日)の主な議題は、ロシア・ウクライナ戦争、コロナウイルスの大流行、世界経済の減速などが引き起こす発展途上国の債務問題になると予想されている。

IMFのゲオルギエワ専務理事は記者団に対し、「低所得国の60%が債務危機に陥っているか、それに近い状態にある」と語った。

対外債務の処理に追われる国は食料や燃料価格の高騰に対応できず、生活必需品の輸入にひどく苦労している。

多くの国がコロナの大流行、それを封じ込めるための措置、国民への支援、様々な政策を実行するために国債を積み重ねてきた。IMFによると、最貧国の債務の平均は今年、GDPの50%を超える見込みだという。コロナの流行が始まる2019年から6%以上増加したことになる。

世界全体で見ると、金利の引き下げを含む大規模な経済緩和は功を奏し、世界経済は2020年のコロナ不況から予想より早く回復した。

しかし、経済の急回復は企業の不意を突き、工場、港湾、貨物は顧客の需要増に対応できなかった。その結果、納品は遅れ、物価は上昇した。

IMFによると、今年の消費者物価指数は新興国と発展途上国で8.7%、先進国で5.7%上昇し、1984年以来最も高くなる見込みだという。

FRB(連邦準備制度理事会)を中心とする世界の中央銀行は、インフレに対処するために金利を引き上げている。金利の上昇はインフレを抑えるが、債務負担を増大させ、最貧国に圧力をかける。

また金利の上昇は米国への投資を促す一方、日本を含む他国の通貨を押し下げ、最貧国は輸入品の支払いに苦労することになる。

ゲオルギエワ専務理事は、「中央銀行は慎重に行動し、金融市場の過剰反応を避けるために何をすべきか。また、脆弱な新興国や途上国経済への波及リスクに留意すべきだ」と助言した。

また両指導者は、債務に苦しむ国々を支援するために、世界規模の取り組みを協調して行うよう強く促した。

危機は進行中である。

スリランカは先週、独立以来最悪の経済危機に対処するため、IMFとの融資再編プログラムが完了するまで対外債務の支払いを一時的に停止すると発表した。

世界銀行によると、最大12の発展途上国が今後1年以内に対外債務を処理できなくなる可能性があるという。世銀のマクロ経済・貿易・投資担当グローバル・ディレクターは先月、「それは1980年代と1990年代の新興市場の債務危機のようなものではないが、それでも重大なことで、途上国における債務危機はこの100年で最大のものになるだろう」と警告した。

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