◎ソロモン諸島と中国の外相は今週、物議を醸す安全保障協定に調印した。
2021年12月6日/ソロモン諸島、首都ホニアラの政府庁舎、マナセ・ソガバレ首相(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

南太平洋のソロモン諸島を訪問中の米代表団は22日、ソロモン諸島政府が中国と安全保障協定を結んだことについて、インド太平洋地域の安全保障に影響を与えるような行動を取った場合、対抗措置を取ると警告した。

ソロモン諸島と中国の外相は今週、物議を醸す安全保障協定に調印した。

ホワイトハウスによると、この警告はソロモン諸島を訪れた代表団からソガバレ首相に直接伝えられたという。

代表団は協定の範囲と目的に懸念を表明し、協定の透明性が欠如していることを嘆き、「中国軍の駐留はない」というソロモン諸島政府の主張にも疑問を投げかけた。

先月末にリークされた協定の草案は「社会秩序を維持するために、ソロモン諸島の要請に基づき、中国軍の派遣を認める」としている。

また相手国の書面による同意がない限り、どちらも任務を公にすることを許されない。

米国は両国の外相が協定に調印したことを受け、大急ぎでソロモン諸島を訪問し懸念を伝えた。ソロモン諸島と二国間安全保障条約を締結しているオーストラリアは中国の懸念を数年前に把握していたとされるが、完全に不意を突かれた。

日本とニュージーランドも懸念を表明している。

ホワイトハウスは声明の中で、「ソロモン諸島の代表は、この協定は国内のみに適用されると述べたが、米国の代表団は、米国とその同盟国やパートナーを含め、この協定が地域の安全保障に影響を与える可能性があると指摘した」と述べている。

またホワイトハウスは、米国代表団は協定の目的、範囲、透明性に関して、懸念される事項をソロモン諸島に伝えたとしている。「事実上の恒久的な軍事的プレゼンス、パワー・プロジェクション能力、軍事施設を確立するための措置を中国がとれば、米国は重大な懸念を持ち、それに応じて対応すると伝えた」

対抗措置の詳細は明らかにされていない。

ホワイトハウスは、「ソガバレ首相は中国軍の長期駐留はないと保証したが、米国は地域のパートナーと協調し、動向を注視する」と述べている。

ネット上に流出した協定の草案によると、「中国の軍艦はソロモン諸島で物資を補給し、社会秩序の維持を支援するために警察や軍隊を派遣することができる」としている。両国は協定の最終版を公表していない。

米国は南太平洋地域の懸念に対処するため、ハイレベル戦略対話の開始を提案し、ソロモン諸島はこれを受諾した。米国からは国家安全保障会議インド太平洋地域調整官のカート・キャンベル氏と、東アジア・太平洋地域担当国務次官補のダニエル・クリテンブリンク氏などが参加した。

米代表は訪問中、米大使館を再開する計画についても協議した。同国の米大使館は1993年以来閉鎖されている。

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