◎犯罪組織はラオス、フィリピン、タイなどに拠点を置き、個人に電話をかけたり、SNSで偽の広告を拡散するなどして被害者を誘い出す。
2023年6月27日/フィリピン、マニラ首都圏、サイバー犯罪組織の拠点とされる建物(Philippine National Police Anti-Cybercrime Group/AP通信)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は29日、東南アジアの犯罪組織が何十万もの市民をオンライン詐欺に加担させていると警告した。

OHCHRは29日に公表したレポートの中で複数の情報筋の証言などを引用し、「内戦下のミャンマーでは少なくとも12万人、カンボジアではおよそ10万人がサイバー犯罪を強制されている可能性がある」と指摘している。

オンライン詐欺の種類は▽ロマンス詐欺▽投資勧誘▽ギャンブルへの勧誘など。

このレポートはアジアで大きな問題となっているサイバー犯罪に警鐘を鳴らしている。関与を強制された市民の多くが犯罪組織の支配下に置かれているものとみられる。

犯罪組織はラオス、フィリピン、タイなどに拠点を置き、個人に電話をかけたり、SNSで偽の広告を拡散するなどして被害者を誘い出す。

OHCHRは犯罪組織の巨大さを引き合いに出しながらも、その秘匿性と各国の取り締まりの甘さから、詐欺に関与する人々の数を正確に見積もることは難しいとし、その規模は年間数十億ドルにのぼるとしている。

一部の被害者は拷問や性的暴行にさらされている可能性もある。

フィリピン警察は6月、中国、フィリピン、ベトナム、インドネシア、その他十数カ国から詐欺的なオンラインゲームサイトや犯罪組織に騙されて働かされていたとされる2700人以上を救出した。

ASEAN(東南アジア諸国連合)の首脳は今年5月にインドネシアで開催されたサミットで、一般市民をサイバー犯罪に加担させる組織と戦うために、国境管理と法執行を強化し、サイバー犯罪関連の国民教育を拡充することで合意した。

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