◎国連によるロヒンギャ支援に必要な今年度予算は当初の予定の40%程度にとどまっている。
2018年1月22日/バングラデシュ、コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプ(Getty Images/AFP通信)

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグランディ(Filippo Grandi)高等弁務官は17日、中東やウクライナ侵攻などの影響で世界情勢が悪化する中にあっても、ミャンマーの少数民族ロヒンギャが置かれている苦境を忘れてはならないと訴えた。

グランディ氏はタイ・バンコクで開催されたロヒンギャ難民を支援する国際会議に出席。「ロヒンギャの尊厳あるミャンマーへの帰還を実現することが最も望ましいが、それを実現するには克服すべき多くの課題がある」と述べた。

またグランディ氏はミャンマーで武力紛争が続いていることや、ウクライナ、シリア、アフガン、パレスチナなどで続く危機の影響により、ロヒンギャを支援する活動への援助が減少していると警告した。

ミャンマー軍による2017年の弾圧で殺害されたロヒンギャは1万3000人と推定され、少なくとも200の村が焼き払われ、100万人以上が国外への避難を余儀なくされた。

隣国バングラデシュのコックスバザール地区には70万人以上のロヒンギャが避難し、世界最大の難民キャンプを形成している。

グランディ氏は記者団に対し、「私はこの会議で国際社会に対し、ロヒンギャ難民を支援するためにはより強力な支援、ミャンマーに対する開かれた政策と世界の注目が必要であると改めて訴えた」と語った。

それによると、国連によるロヒンギャ支援に必要な今年度予算は当初の予定の40%程度にとどまっているという。

国際社会は中東情勢の悪化、ロシアによるウクライナ侵攻、シリア内戦、イエメン危機、地球温暖化による世界規模の自然災害への対応などに追われている。

グランディ氏は「予算を確保できないことでロヒンギャ難民を受ける一部の国(バングラ、インドネシア、マレーシアなど)が大きな負担を強いられている」と強調した。

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