◎オリンピック代表にトランスジェンダーの選手が選ばれるのは世界初。
2018年4月9日/オーストラリア、ゴールドコーストで開催された2018コモンウェルスゲームズ、ニュージーランドのローレル・ハバード選手(AP通信/Mark Schiefelbein)

6月21日、ニュージーランドで東京2020五輪重量挙げの代表選考会が開催され、87kg超級に出場したトランスジェンダーのローレル・ハバート選手(43歳)が代表に内定した。

オリンピック代表にトランスジェンダーの選手が選ばれるのは世界初。

ハバート選手は重量挙げ選考会に出場した選手の中で最年長だったが、クリーン&ジャークで185kgを持ち上げ、出場権を獲得した。

ハバード選手は2017年の世界選手権で銀メダル、2019年のパシフィックゲームズでは金メダルを獲得している。

ハバード選手は声明の中で、「多くのニュージーランド人から与えられた親切と支援に感謝します」と述べた。「3年前のコモンウェルスゲームズで腕を骨折したとき、私のキャリアは終わりだと言われました。しかし、多くの支援、励まし、そして皆さんの愛のおかげで、私は暗闇から抜け出すことができました」

トランスジェンダーの選手が女子の試合に出場することは物議を醸し、公平性の議論を加速させた。ハバード選手(旧名ギャビン・ハバード)は怒り、軽蔑、嘲笑に直面し、一部の選手を含む反対者から直接非難された。

ギャビン・ハバード氏はジュニア大会で合計300kg(スナッチとクリーン&ジャーク)を持ち上げ、NZの全国記録を樹立した素晴らしい重量挙げ選手だった。

ハバード氏は8年前に移行し、それ以来、国際オリンピック委員会(IOC)が定める全ての条件を満たしたうえで、トランスジェンダー選手として国際大会に出場してきた。

IOCは、男性から女性に移行した選手は定められた条件を満たせば女子の試合に出場できると定めている。

条件の中には、「女性であると公に宣言し、最低4年間は宣言を変更しない」というものや、「大会前の12か月間の血中テストステロンが既定値以下であることを証明する」などがある。ハバード選手は全ての条件をクリアした。

IOCは規則の中で、「最も重要なことは公正な競争を保証することであり、条件はこれからも変わらない」と述べている。

しかし、一部の重量挙げ選手は、IOCの規則は公正な競争を保証していないと反論している。条件のひとつの血中テストステロンの規定値(1リットルあたり最大10ナノモル)は、女性の約5倍と指摘されている。

アスリート以外のテストステロンの血中濃度は、男性は1リットルあたり9~31ナノモル、女性は0.4~2ナノモルが標準レベル。

ハバード選手と対戦する可能性が高いベルギーのアンナ・バンベリンゲン選手は、「トランスジェンダー選手の存在は悪い冗談だ」と語った。「トランスジェンダー選手の出場規則を明確に定めることは困難です。恐らく、双方が完全に納得する解決策は見つからないでしょう。高レベルで重量挙げを行っている選手は、身体と骨の違いを理解しているはずです...」

他の選手や関係者も「ハバード選手は生理学的に強く、明らかに有利」と主張している。しかし、NZオリンピック委員会のケレイン・スミスCEOは、「ハバード選手は五輪に出場できる全ての条件を満たしている」と語った。「私たちはスポーツにおける性同一性が非常に複雑な問題で、人権と公平性のバランスが必要だと認識していますが、NZチームはすべての選手を受け入れ、尊重するという強い文化を持っています」

「NZチームは資格のあるすべての選手をサポートし、オリンピックの準備と競技を通して精神的および肉体的な成長を達成できるよう取り組んでいきます」

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