◎タイは昨年、コロナウイルスをうまくコントロールしたが、デルタ株の登場で事態は一変し、さらに政府はワクチンの確保に失敗した。
2021年8月29日/タイ、首都バンコク、反政府抗議デモ(Anuthep Cheysakron/AP通信)

8月29日、タイの首都バンコクでプラユット・チャンオチャ首相の退陣を求めるバイク抗議デモが決行され、主要な幹線道路はバイクと自動車に占領された。

社会活動家のソンバット・ブーンガマノン氏は抗議の開始に先立ち、「私たちのメッセージはひとつです。プラユットは出ていけ!」と参加者に呼びかけた。

プラユット首相は2014年の軍事クーデターで政権を掌握し、2019年の総選挙で勝利を収めた。

バイクデモの主催者は今回のデモの形態について、「コロナウイルスの感染拡大を抑え、政府が発令した大規模集会の制限に違反しないための措置であり、抗議者がバイクや自動車で一斉に移動するため、警察との激しい衝突を避ける効果も期待できる」と述べた。

ブーンガマノン氏も声明の中で、「バイク抗議デモはコロナの蔓延を抑えながら世界に訴えることができます」と述べた。「バスを利用すると政府の規則に違反する可能性があります。しかし、私たちは自分のバイク、自分の車で社会的距離と集会の規則を守りながら移動しています。車を使う人は乗車人数に注意してください...」

プラユット首相の報道官は先週、抗議デモはクラスターを引き起こす可能性があると懸念を表明していた。

プラユット政権に対する抗議デモは昨年本格化し、抗議者たちはプラユット首相の辞任、より民主的な憲法の確立、そして立憲君主制を責任あるものにするという3つの要求を掲げた。

しかし、コロナウイルスの感染拡大と王族から恩恵を受けているエリート層の抵抗、そして軍隊の厳しい取り締まりの影響で抗議デモは勢いを失った。

プラユット首相に対する批判は今年に入って急増した。タイは昨年、コロナをうまくコントロールしたが、デルタ株の登場で事態は一変し、さらに政府はワクチンの確保に失敗した。

タイの累計感染者数は約118万件、累計死亡者は11,000人を超え、累計症例の97.5%と累計死亡の99%が今年6月中頃から始まった第3波以降に確認された。

今週、政府に対する2回目の不信任決議案が審議される予定である。反対派はプラユット首相のコロナ政策とワクチン確保の失敗を非難している。

ブーンガマノン氏はデモ参加者に、「抗議でプラユット政権を追放できるかどうかは分からないが、政権に対する非難の波と議会の混乱を引き起こすことはできます」と語った。「連立政権がプラユットの不信任決議案に賛成票を投じれば、次の総選挙は前回とは全く異なるものになるでしょう...」

またブーンガマノン氏は、9月2日に予定されている不信任決議案の審議が行われるまで大規模な抗議デモを継続すると約束した。

タイ王室の資産は400億ドル(約4兆4,000億円)以上と見積もられており、「世界一裕福な王族」と呼ばれている。ラーマ10世はドイツで悠々自適な生活を送っていたが、昨年10月以来タイ国内にとどまり、イメージの回復に努めている。

2021年8月29日/タイ、首都バンコク、反政府抗議デモ(Anuthep Cheysakron/AP通信)

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