◎蔡総統は中国との緊張が高まる中、今回の選挙を「民主化への投票」と位置づけ、支持を呼びかけていた。
2022年11月26日/台湾の蔡英文総統(ロイター通信)

台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は26日、統一地方選で大敗を喫した責任を取り、民進党の党首を辞任すると発表した。

首長選は6の直轄市と15の県で投開票が行われ、地元メディアによると、民進党は5市県で勝利した。最大野党の国民党は首都台北を含む13市県を抑えた。

国民党は経済を優先する右派政党であり、親中派とみなされ、中国との経済関係を重視し、統一を支持しているように見える。国民党は親中派であることを否定している。

一部の専門家は国民党が政権を取れば、中国共産党に「内側から切り崩される」可能性があると指摘している。

蔡総統は中国との緊張が高まる中、今回の選挙を「民主化への投票」と位置づけ、支持を呼びかけていた。

蔡総統は記者会見で、「すべての責任を負い、党首を辞任する」と語った。

有権者は台湾有事より経済、犯罪、住宅、社会福祉、インフレ対策に注目しているように見える。台北の投票所前で地元メディアの取材に応じた女性は、「住宅と犯罪の問題に力を入れてくれそうな候補に投票した」と述べていた。

地方議会と首長は対中国政策に関する直接の発言権を持たないが、親中派が地方を抑えれば、連邦議会は厳しい政権運営を迫られることになるだろう。

蔡総統と政府関係者は「この選挙で台湾の民主主義は確立されたというメッセージを中国に送る」と有権者に呼びかけてきた。

選挙権を20歳から18歳に引き下げるという国民投票も反対多数で拒否された。

共産党は台湾を中国の省のひとつとみなしている。

中国と台湾の緊張は今年8月のペロシ(Nancy Pelosi)米下院議長訪台でピークに達した。中国は台湾を取り囲む形で軍事演習を行い、米国を強くけん制した。

米国と中国は1979年に国交を正常化した。

しかし、米国は台湾とも緊密な関係を構築し、数十億ドル規模の貿易と投資を行っている。この非公式の関係は米国以外の西側諸国にも当てはまる。

米国は「一つの中国政策」を否定し、台湾を擁護しつつも、その争いの平和的解決を望むという中途半端な立場を維持している。

蔡総統は2020年の総統選で圧勝し、再選を果たした。

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