◎ソマリランドは1991年にソマリアから分離独立し、どの国とも正式な外交関係を結んでいない。
2022年2月9日/台湾、台北の政府庁舎、蔡英文 総督とソマリランドのカイード外相(Taiwan Presidential Office/AP通信)

台湾はアフリカで最も外交的に孤立した国のひとつであるソマリランドとの関係を強化しつつある。

ソマリランドのカイード外相は2月9日、台湾の首都台北で蔡英文 総督と会談し、両国の経済および政治的関係は新たな高みを目指すと記者団に語った。「今回の会談は両国の関係を新たな高みに押し上げるという決意を示しています...」

蔡 総督はソマリランドとの関係を外交的突破口のひとつと評価した。

ソマリランドは1991年にソマリアから分離独立し、どの国とも正式な外交関係を結んでいない。

独立国家の台湾は2022年2月時点で14カ国としか外交関係を結んでいないが、米国や日本を含む主要国の大半と強固な非公式関係を維持している。アフリカ大陸で台湾と正式な関係を結んでいる国はエスワティニ王国(旧スワジランド)のみ。

台湾は2020年8月にソマリランドの首都ハルゲイサに事実上の大使館を開設し、ソマリランドは同年9月9日に台北に駐在員事務所を開設した。

台湾を省のひとつと考えている中国は公式・非公式を問わず、台湾との関係を強化する国に嫌がらせをしている。

ガイアナは2001年に台湾の貿易事務所を開設することに合意したが、中国の圧力を受け、わずか1日で事務所の閉鎖を決めた。昨年末には中米ニカラグアが中国に頭を下げ、台湾大使館を共産党に提供した。

また中国はバルト海の小国リトアニアとの貿易を停止し、同国と取引する外国企業に制裁を科すと脅迫している。

中国はリトアニアが台湾の駐在員事務所を開設する際、「台北」では「台湾」という名称を許可したことに激怒し、リトアニアの大使館事務所を閉鎖したうえでリトアニア大使を追放した。

カイード外相は記者団に、「外交の権利を否定すべきではない」と語った。「主権国家はすべての国と平和的かつ友好的な外交関係を結ぶ権利があると国際法に明記されています...」

またカイード外相は中国を意識し、「主権国家の権利を否定する脅迫や強制的な措置は国際秩序の原則、規則、規範に対する侮辱であると同時に、国際社会が必要とする平和と安全を否定することになる」と述べた。

両国は農業、漁業、教育、エネルギー分野での協力を拡大することに合意した。

中国外務省は9日の定例会見でソマリランドを非難した。

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