◎政府は対外債権者との交渉および、国営企業の民営化に向けた取り組みを開始する。
2022年4月4日/スリランカ、首都コロンボの抗議デモ(Dinuka-Liyanawatte/ロイター通信)

スリランカ国会は28日、国際通貨基金(IMF)の再編プログラムに基づく政府の債務削減法案を可決した。

ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領が提出した法案は3日間の討議を経て、賛成120ー反対25で承認された。

これにより、政府は対外債権者との交渉および、国営企業の民営化に向けた取り組みを開始する。IMFは数回に分けて30億ドルを融資する予定だ。

スリランカは昨年、返済期限を迎える対外債務約70億ドルの返済を停止し、デフォルトに陥った。対外債務は510億ドルを超え、そのうち280億ドルは2027年までに返済しなければならない。

持続不可能な債務、コロナの大流行による観光業の低迷、ロシアのウクライナ侵攻による燃料価格高騰などの影響により、人口の大多数を占める低中所得者層の多くが厳しい生活を余儀なくされている。

ウィクラマシンハ氏は26日の国会演説で、「人員(公務員)削減により、170億ドルを捻出し、負債の処理に充てる」と説明した。

またウィクラマシン氏は「2028年までにGDPを2019年水準まで回復させるためには3%の成長率を維持する必要がある」と強調。歳出を抑えたうえで、経済活動を活性化させると述べた。

ウィクラマシンハ氏が昨年7月に就任した時点の借入残高(国債・借入金・政府保証債務現在高)は836億ドルだった。

政府は対外債務の再編に関する交渉について、インド、パリクラブ(主要債権国会議)、中国と個別に実施するとしている。

ウィクラマシンハ氏は演説の中で、「政府は借り入れを行っている銀行や積立基金に対して適切な保護措置を講じたうえで、債務を再編することになる」と述べた。

スリランカの経済危機とその後の抗議デモは世界に衝撃を与えた。後先考えない借り入れで危機を引き起こしたラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)前大統領はデモ隊の圧力に屈して国外に逃亡、辞任に追い込まれた。

ウィクラマシンハ氏の就任以来、経済は改善の兆しを見せている。物資不足は緩和、停電は解消され、スリランカ・ルピーも買いに転じている。

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